からメシ 第54話 水族館とマリンセーラーの君
11月上旬
さて、高木さんとのデート、当日
ついに水族館デートだ
島外デート...といえば始発フェリーと相場は決まっているので、また朝は早い
高木さんが迎えに来る
「おはよ。西片」
「おはよ。高木さん」
高木さん、今まで見た事ない服だ
清楚な感じというかさわやかというか
白い服で長めの白のスカートに白い帽子
「あ、この服?マリンセーラーっていうんだよ。こないだ買ったんだ。」
高木さん、なんで俺が思ってることがわかるんだ
「せっかく買ったから西片とのデートに着てこうと思って着てきちゃったけど、11月の朝だとだとちょっと寒い格好かもね...」
たしかに半袖だし...今日は暖かくなるらしいが朝、秋も深まってきた今では寒いかもしれない。
上着を脱いで高木さんに渡す
「暖かくなるまで俺の上着きなよ...」
「でもそれじゃあ西片が寒いよ?」
「俺はその...毎日走ったり筋トレしたりして筋肉ついてるから大丈夫...だよ...」
「そっか」
「じゃあ私が体温であっためてあげるね」
後ろから高木さんが抱きつく
「こうやってフェリー乗り場まで行こっか」
「恥ずかしいし歩きにくいから!」
そんなこんなでフェリーにのり、毎度おなじみ高松駅から電車でしばらくいき、そっから徒歩でしばらく行くと
水族館だ。
入場券を買い、中に入ると
当たり前だけど水槽だらけ
とりあえずまず、色んな水槽を見て回る。結構解説文が面白かったりするんだよなこういうの。
俺がタツノオトシゴの解説を熟読し終わったあたりで
「西片、タツノオトシゴがハートマークになってくっついてるよ!あれって何してるか分かる?」
「......し、知らないっ///」
解説読んだから知ってるけど
言ったら西片も私とそういう事したいんだね❤
とかいってからかわれるにきまってる
どうだ高木さん、この俺の先読み能力は!恐れいったろ!
すると高木さんが耳元で囁く
「正解はね。交尾だよ❤私達も...してみる?」
「し、しないよ!///」
「西片ほんとこういうの弱いね。顔真っ赤w」
「西片があまりにこういうの弱いから私もそこを攻めざるを得ないんだよなー。」
「でもよく考えてみてよ。パートナー、つがいになったら自然な事なんだよ?これは。私達もパートナー、動物で言うところのつがいでしょ?」
高木さんめ!毎回毎回そういうの誘ってくるようになって!こんな公共の場で...つがいになりたい部分が隆起してきたじゃないか!なんてことを言うんだ高木さんめ!
でもこんなとこでそのあれするわけいかないし
落ち着けこんな時は三角比の加法定理の事でも...って覚え方が高木さんに教わったえっちな覚え方だし...
とりあえず腰に上着を巻き誤魔かす...
次にイルカショーを変わった形で見た
普通はイルカショーは水面上からしかみれないが
ここのイルカ水槽は水面下がガラス張りでみれる構造になっており、イルカが水中からジャンプするとこが見れるのだ。
高木さんは子供みたいにはしゃいでて
「イルカがジャンプするのと一緒にジャンプするから、こう下から迫力ある感じで撮ってみてよ」
とか言い出す
高木さんに言われた通りイルカがジャンプするタイミングに合わせてしゃがんで、イルカが入るように高木さんを斜め下から仰ぐ感じで撮るが
ジャンプする度に結構際どいとこまでスカートがめくれる...
...これスカートめくれちゃうじゃんか...このローアングルから撮ったら...パンツ...は見えてないけどさ、見えそうだし...
というかこれすごく恥ずかしいことしてないか?///俺。恥ずかしいというか辞めないとまずくない!?
「高木さん!ストップストップ!」
「ちゃんと撮れてる?西片?」
「こ、この角度からスカートはいてジャンプしてる女の子撮るなんてまずいよ!ヤバい人に見えるよこれ俺が!///」
「被写体の私がいいって言ってるんだから大丈夫だよ。それにロングスカートだからジャンプしてその角度から撮っても下着まで見えないでしょ?」
「絵面がやばいんだよ!///注意されたりしたらどうすんのさ」
「そんなの、話せばわかるよー。」
「問答無用だよ!」
「あははは、5・15事件のセリフだね。西片ちゃんと歴史の勉強できてるね。期末テストも安心かな」
「そういうことじゃなくてさ!」
「わかったわかった。たしかに西片が不審に思われるのも可哀想だし、もうやめとくよ。そのかわり今度家でミニスカでジャンプしてあげるからローアングルで撮ってね」
「そういうことでもないんだよ!///全く、話してもわかってくれない!!」
「あはははは」
そのあといろんな動物を見たが、なんというか...その...発情してる動物が多くて...///
「私達も発情しろって事じゃない?早めに帰って私達もさ...」
「しないから!///」
「あはははは、顔真っ赤」
そのあと併設されてる船の科学館みたいなところに行った。昔の海賊船みたいな船のハンドル?梶っていうのかあれ。みたいなのがあって、回せるようになってて
高木さんが回してはしゃいでて...
高木さんて子供っぽいところあるんだけど...そこがまたかわいいんだよな...
そのあとお土産コーナーに行った
「私この宝箱買おー」
高木さんが手に取ったのは手のひらサイズの宝箱みたいな形の小物入れ
「これに私の宝物入れるんだ♪」
西片から夏祭りの時貰ったかんざしとか、誕生日に貰ったキツネヌキのぬいぐるみとかね
「高木さん...これ...」
西片がプレゼントくれた!貝殻のネックレス...とってもうれしい
「ありがと、西片。一生大事にするね。」
「そんな大袈裟な...」
「大袈裟じゃないよ?西片から貰ったものは全部一生大事にするもん」
「そうだ、西片にもなんかプレゼントしよー」
「同じの買ってペアルックにしよっか」
「さすがにペアルックもネックレスも恥ずかしいよ///」
「そっか。じゃあこのイルカのキーホルダーとかどうかな」
「ちょっとかわいすぎる気が...」
「かわいいってことはいいことだよ。それに、西片もかわいすぎるし、ピッタリじゃないかなあ」
「俺そんなかわいくないから!」
「西片かわいいよ。かわいいかわいい。」
高木さんに頭を撫でられる
「もう!...恥ずかしいから!人前で撫でるのやめてよ///」
結局イルカのキーホルダーをプレゼントされた。
「高木さん...ありがと...」
「どういたしまして。さ、お昼ご飯食べよー」
俺と高木さんは水族館の近くの、イートインスペースのある市場で食事をすることに
お刺身など鮮魚を中心に色々ある。もちろんごはんもある。
ご飯に買ってきたお刺身を乗せ、海鮮丼に
「やっぱ魚は生が美味しいよね」
「西片は生でするのが好き、と」メモメモ
「お刺身の話だよ!」
「え、お刺身の話だよ?何の話だと思ったの?」
「いや...それは...///」
「してあげよっか?」
「し、しないから!そういうことは!///」
た、高木さんめー!
「まあいいや。食べよー。西片は何にしたの?お刺身。わけっこしようよわけっこ」
「えーと、カワハギ(肝付き)とオリーブブリとクマエビとかいうやつ」
「私はマナガツオとアオリイカとしめ鯖だよ」
「「いただきまーす」」
「高木さんのマナガツオ脂のっててうま!」
「ほんとだ!マナガツオおいしいね!西片のカワハギも肝が濃厚で、身と合ってておいしい」
「カワハギはやっぱ肝だよね。しめ鯖も脂のってるんだけど、青物特有のスッキリする感じがあっていいよね。」
「だね。さっぱりするよね。オリーブブリも普通のブリよりさっぱりする気がするや」
「言われてみれば、ってくらいな気はするけど、でも美味しい。高木さんのアオリイカも甘くて歯ごたえが良くて...」
「ほんとだ美味しい。西片のクマエビも甘みが濃厚で美味しいや。頭付きだからミソも食べれるし。」
「カニミソとかえびミソとか美味しいよね。」
「「ごちそうさまでした。」」
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ご飯を食べ、帰ることに。
電車に乗って、フェリーにのって...
高木さんを家まで送る
18時ともなるともうあたりは暗くなってきている。
「西片、ちょっと...帰る前に...神社で話さない?」
神社の軒下に腰掛ける。昔、高木さんがお母さんと喧嘩した時にいた場所だ。
「西片って...高校卒業したあとってどうしたいの...?大学?専門学校?就職?」
「......まだ決めてないんだよね...実は...。なかなか想像つかなくてさ。将来何やりたいとか...無いんだよなあ...まだ」
何やりたいかは全くわからないけど...
誰と居たいかは...もうしっかりわかってる...
高校卒業後のことを考えてないのに、高木さんがそばにいる想像だけはできてる...
「高木さんは?」
「私もね。まだ決めてないよ。」
「西片が、高校卒業したらどうしたいか、決まったらさ、教えて欲しいな。大学でも、専門学校でも、就職でも...私も同じとこに行くから」
「......高木さんはそれでいいの?」
「それでいいんじゃないよ。それが、いいんだよ。私は。」
「高木さんの人生なのに?」
「大好きな人と......西片と...一緒にいることが私の人生だよ」
高木さんが俺の手を握る。
「高校だって西片と同じとこ、しか選択肢に無かったし。」
「そっか。じゃあ早いとこ考えないとな俺も...」
「ゆっくりでいいよ。コロコロ気が変わってもいいよ。その度に、ついて行くから!」
「うん。」
「学年上がるとコース選択みたいなのもあるみたいだから...どれ選ぶか、決めたら教えてね」
「......もし大学とか行ったら...この島から離れちゃうのか」
「そうだね。私もこの島好きだし。寂しいけど。島には専門学校も大学もないから、卒業したら今度こそみんなバラバラになっちゃうけどさ、
でも私だけはどこまでも西片について行くから。北海道でも外国でも宇宙でも異世界でもね」
「さすがに宇宙とか異世界とか遠すぎでしょ」
「あはははは。そうだね。」
「西片と一緒ならそれだけで幸せだよ。私は。」
「もし橋の下に笹とかダンボールとか組んで家つくって、食べれる雑草とか探して食べる生活でも、西片と一緒なら秘密基地に暮らしてるみたいで楽しいと思う」
「俺は、す、好きな人にそんな不甲斐ない思いさせたくないし、嫌だなそれは...」
「...」
「...ハナ、元気にしてるかな?」
「元気にしてるさ。」
「...ハナとも離れ離れになっちゃったしさ、高校卒業したらほとんどみんながそれぞれ別の道を行くけど......でもね、西片
一番大事なものだけはね、ずっとずっと離れないんだよ」
高木さんが抱きついてくる
「そうだね。俺もそう思う......だから...離さない」
高木さんをギュッと抱きしめ返す
よくよく考えたら恥ずかしいセリフ言ってたの気づいて顔が赤くなる。
「すっかりカッコよくなっちゃって...って顔真っ赤だからやっぱかわいいね西片は。かわいいかわいい。」なでなで
真面目な話しても結局最後はからかわれた
高木さんを家に送り、自分も家に帰る
将来か...
高木さんと一緒にいるってのは想像できるけど
どんな仕事につくかとか、その他のこと一切想像すらついてない
まだ高校一年だからと思ってたけど
もう高校一年だからな。少しづつ考えていかないとなのかもしれない。
第54話 完了
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