からメシ 第37話 パンを食わえて登校と出し物決め

昨日色々考えて...決心した...
やはり、そろそろ、あれを用意しないと...ダメだ

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今日は珍しく高木さんが朝家まで来なかった。
メールで、先に家出てて。朝ごはんは持ってくるから。ごめんね。
と、寝坊したのか...珍しい。

「おはよ。西片」
高木さんがぽん、と肩をタッチする

「ひゃう!」
日焼けしてるのでビリビリする

「あはははは、西片、やっぱり反応面白いね」
高木さんめー。まさかこれがやりたくて後から来たのか今日は

「ピンポーン!正解!西片の日焼け跡におはよって言って触りたかったから、今日は遅れてきました」
また心を読んで...

「西片正解したから、やり返していいよ」
高木さんめ!昔の俺とは違うんだ

「西片が触れたいとこ、どこでも...やり返していいよ......服の中でもいいよ?」

「こんな白昼堂々出来るか!」

「白昼じゃなかったらいいのかな?」

「ち、ちが!しないから!服の中なんて」

「じゃあ服の上でも、腕とかでもいいからさ」

...高木さん今日も攻めてくるな...
しかし!俺は昔と違う!それくらい!

高木さんの腕にそっと触れる

「あぁっ❤」

「変な声出さないでよ!」

「あはははは、しょうがないよ日焼けで敏感なんだから。それに西片も変な声さっき出てたよ?おそろいだね❤」
高木さんめ

「あ、そういえば朝ごはん。簡単なものなんだけどバタートーストだよ」

「ありがと、って食べながら学校行くの?それと高木さんの分は?」

「西片はこっちくわえて?私はこっち側くわえるから」

「たへすすめふときふしひゃうへ」

「こういふのはめよふおらいいひあふあいかあ!」

何言ってるかわかんないから一旦パンからお互いに口を離す
「食べ進めるとキスしちゃうね」ニッコリ

「こういうのやめようよ!第一危ないから!」

「あはははは、まあどっちかが後ろ向きながら歩くことになるからねー。実は私の分もちゃんとあるんだ!」

「最初から1人1枚にしようよ!」

トーストをくわえて登校
漫画だとよくあるシーンだけど

実際やると、相当恥ずかしいぞこれ!
小豆島は人口25000人ほど。そりゃあ高松や岡山と比べても田舎とはいえ逆に25000人もいる。
学校に行くまでに誰ともすれ違ったりしないほどの田舎では決してない

そんな中パンを食いながら登校は...なかなか恥ずかしい。

それにしてもこのパン美味しいな。バターの風味が美味い

「あ、西片。気づいた?これバターは発酵バター使ってるんだよ」

「すごく美味しい。コクが強くて。風味も最高。」

「よかった。ありがと」

「こっちこそ。毎日朝ごはん作ってくれて。ありがとう」

「...///。そうだ!西片、もう1枚ずつパンあるからさ、私はあの角から走ってきて、西片はあっちの角から走ってきて、ぶつかってさ。
パン食べながら登校してたら運命の人に会えたごっこしようよ」

「意図的にぶつかるとか危ないし遅刻するから!!」

「あははは、そうだね。ちょっとやってみたかっただけ。それに...ごっこなんかじゃないもんね。」

「...そうだよ。」

もう1枚パンを食べながら登校した。

この日は始業式だけなので始業式の後、ホームルームをやる。で、9月半ばの土日にうちの高校は文化祭があるので。なにをするかを決める。

そういえば。このクラス、俺も高木さんも中学の時の友達はみんな別のクラスだったな。まあ高木さんがいるからいいんだけど。

「文化祭、一緒に回りたいね西片っ❤」

「そうだね。色々楽しもう」

色々案が出た結果、メイド&執事喫茶に...
あとは調理と接客の班決めだけども

モブ♀1「高木さんは接客のが栄えると思う」
モブ♀2「メイド姿似合いそうだよね」
モブ♀3「だよねー」

高木さん...様子見てるとちょっと...いやだいぶ憂鬱な雰囲気...
2年前に劇の王子様をオーディションで決めようって話にされた時と同じ感じの表情。他の人には分からないかもだが。今の俺はわかる。
高木さん。今の俺は多分高木さんが思ってるより、高木さんの事よくわかってるよ?
高木さん、調理の方がいいんじゃないか?
いやもしかしたら俺の勘違いかもしれないが、多分あってる。なら、高木さんを悲しませないようにするのが俺のつとめだ!言え!
「高木さんは調理...「私調理がいい!!!」

高木さんがキッパリと言った。
結構大きな声で。クラス一同動揺したが、高木さんの意思は尊重され
高木さんは調理班になった。俺はどっちでもよかったんで高木さんと同じ調理班に

「高木さん、調理がそんな良かったんだ?」

「料理が好きってのもあるけど...西片と一緒に文化祭回るってことは、西片には接客出来ないってことでしょ。」

「西片にメイド姿で接客できないのに...他の人を...しかもメイド姿で接客なんて嫌だよ私...
おかえりなさいませご主人様とか言うんでしょ?絶対言えないよ。西片以外にそんなの...嫌だよ...」

なるほど。
多分それは無理して言わなくてもいいって話になるとは思うけど
たしかに俺でもちょっと、いや、だいぶ。高木さんが他の男にメイド喫茶とはいえ、メイド姿で
「おかえりなさいませご主人様」なんて言ってたら心にチクンとする。いや、チクンどこじゃない。辛すぎる
そう考えると俺も調理班にしてよかったと思う。さっきはよく考えてないからどっちでもいいとか思ったけど
俺も高木さん以外に言いたくないし。そんなセリフ。高木さんもそんな姿見たら傷付くと思うし
...あれ、高木さん西片以外には絶対言いたくないって言ってたな...俺には言いたいのか?

まあなにはともあれ、よかったお互い調理班で。ちょっと高木さんのメイド姿見たかった感はあるけど...それは俺に向けられてるものがみたい。いつか機会があるだろ...
「けど、調理はいいんだね。」

「うん、西片にはメニュー全部味見してもらうし、まかないも西片に作れるし。料理なら西片のために作れるから...バイトでも同じようにやってるでしょ?
それに西片に食べさせること考えたら絶対下手な料理作れないしね」

「あ、あと西片、私のメイド姿が見たかった、ってのは安心して。絶対何とかするからそこは」

「へ?」
一体どういう事だろう...

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文化祭の出し物決めも兼ねた長いホームルームが終わる。ちょうどお昼前くらい。

「西片、帰ろっか。西片の家でお昼作ってあげるよ。」

「ごめん、高木さん。今日はどうしても外せない用事が...」
高木さん自身のためでももちろんあるけど、俺のために調理班になってくれた矢先に一緒に帰るのとお昼作ってくれる申し出を断るのは申し訳ない。が。今日はダメだ。決めたんだ。

「そっか。わかった。」

「ごめん」

「いいよ。西片、こういうときってだいたい私を喜ばせようとサプライズ作戦立ててる時だし...」

...喜ばせる...実はそうでも無いんだ。
単純に俺のため、もしかしたら高木さんの為ではあるのかもしれないが...
もう、用意しとかないといけないと思った...アレを...

第37話完

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