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ビートルズ "Strawberry Fields Forever"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 73回目、今日の楽曲は...

アルバム MAGICAL MYSTERY TOUR B面 2曲目 "Strawberry Fields Forever"

サウンド:★★★★
メロディ:★★★☆
リズム :★★★☆
アレンジ:★★★★☆
第一印象:★★★☆
スルメ度:★★★☆
独創性 :★★★★
演奏性 :★★★

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

ビートルズを代表する名曲のひとつと言っても過言ではないだろう。この曲も I Am The Walrus と同じく、ビートルズ中期におけるジョンの最高傑作のひとつであると思う。イントロのジョンによるメロトロンのフレーズ(フルートのような音)は、秀逸である。メロトロンとは、今でいうサンプラーの原型であり、アナログ磁気テープを駆使した楽器として、当時としては最先端の楽器である。

演奏的には、それほど凝ったことはしていない。1コーラス目は、メロトロンやギターのアルペジオで比較的軽いアレンジになっている。それに対し、2コーラス目からチェロやトランペットが入ってきて極めて重厚なアレンジとなっていて、一気にサウンドの重厚感が増してくる。この曲に限ったことではないが、中期の楽曲は、通常のライブバンド演奏では表現が難しいサウンドが多い。多重録音のせいということもあるが...。

コード進行について、キーは Bbメジャーであるが、イントロは F から始まる。このコード進行は後から登場する Aメロ "Living is easy with eyes closed..." と同じコード進行である。で、歌いだしからは、いわゆるサビのフレーズとなっていて、Bb→Fm7→G7→Eb→G7→Eb→Bb という感じ。例によって変拍子が隠されている。Eb の "And nothing to get..." で 2/4拍子、Eb の "Strawberry Fields forever..." で 3/4拍子となっているので要注意。

あと、ドラムもかなり特異なパターンが多い。まず、ハイハットをあえて叩かないで、シンプルに徹していると思いきや、突如タムのフィルインを入れてくるなど、リズムにメリハリをつけている。ドラムの音も、ドライなサウンドに仕立て上げており、曲全体を通して存在感が大きい。

さらに、シンバルの逆回転サウンドなど、お馴染みのエフェクトも入り、タンバリン、マラカス、ティンパニなどさまざまな打楽器も登場する。定番の 3部コーラスはないが、伴奏面でなにかと華やかな演出になっている。

ところで、この曲が 2本の異なるテープ・スピードのテイクを、つなぎ合わせて作られているということは、(ビートルズマニアでは)有名な話である。曲の開始後約 1分のところ"Let me take you down..."の途中から切り替わっている。チェロが入るのと同時に、回転数を下げてピッチを合わせているため、ボーカルの声質も重くなっているのがわかる。このあたりの経緯は文献を読めばわかるので、ここでは特に言及しない。

エンディングでは、一旦フェードアウトしたのち、フェードインしている。この手法については、Helter Skelter のコメントでも書いたが、こちらの曲のほうが早いので、オリジナルは Strawberry Fields Forever なのだろう。たしかに曲タイトル「いちご畑でつかまえて」との相関もとれる。恐るべし、大瀧詠一さん。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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