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ビートルズ "Being For The Benefit Of Mr. Kite!"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 82回目、今日の楽曲は...

アルバム SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND A面 7曲目 "Being For The Benefit Of Mr. Kite!"

サウンド:★★★★☆
メロディ:★★★★☆
リズム :★★★
アレンジ:★★★★
第一印象:★★☆
スルメ度:★★★★☆
独創性 :★★★★☆
演奏性 :★★☆

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

個人的に、すごく好きな曲である。なにせ 3小節のイントロからして、意表を突いている。ハーモニカをバックにオルガンがヒョロヒョロ音のメロディを奏で、なんとも怪しげである。そのあとに続くジョンのボーカルも、ちょっとおどけたようなフレーズで、よくもこんな奇想天外なメロディは思いつくものだと感心してしまう。もっとも、この曲は、ジョンが街のアンティーク・ショップにあった 1843年のサーカス団のポスターからインスピレーションを受けて作ったものらしく、そもそもそれ自体がシュールな発想かと思う。

キーは Cメジャーであるが、イントロはいきなり Bb から始まり A→Dm→G ときて Aメロ "For the benefit of Mr. Kite..." から C→Gaug→Bb→Dm→C... となっている。その後のコード進行において、A、Bb、Gm が何気に登場し、Aメロ最後 "...world" のコードは Dm となっている。一見すると、キーがメジャーなのかマイナーなのか、転調しているのかしていないのか、なんだかよくわからないようなコード進行かと思う。

演奏はかなりシンプルで、Aメロでは、ハーモニウムがロングトーンでコードを弾き、ベースがリズミカルなフレーズを奏でている。このベースの動きは、ビートルズ中期において、すっかりポールお手の物となった特徴のあるフレーズかと思う。ドラムも極めてシンプル。前半はキックとオープン・ハイハット、後半はキックとフロアタムだけで叩いている。

間奏の直前の歌詞 "...waltz" のあとから、本当にワルツ(3拍子)になるところなど、なかなか凝った演出をしている。この間奏もいろいろな音が交じり合い、幻想的な感じがする。サーカスの華麗なステージをイメージしているのだろうか。間奏の後、強烈なピアノ・コードでブレークが入り、そのまま 4拍子に戻って 2コーラス目に入るところは、ちょっと強引すぎるかな。

それにしても、間奏のバックの音とか、2コーラスが終わった後のひたすら続くエンディングのバックで鳴っている SE がすごい。文献によると、ジョンが「床に敷きつめたおがくずの匂いがする音」とトンでもない要求をジョージ・マーチンにしたとか。で、オルガンを録音したテープを短く切って放り投げ、それを拾ってランダムにつなぎ合わせてミックスしたとのこと。もう、何でも好きにやってくれぃ!

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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