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ビートルズ "Taxman"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 89回目、今日の楽曲は...

アルバム REVOLVER A面 1曲目 "Taxman"

サウンド:★★★
メロディ:★★☆
リズム :★★☆
アレンジ:★★★☆
第一印象:★★★
スルメ度:★★★
独創性 :★★★☆
演奏性 :★★★★

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

ジョージの作品。ジョージの曲が 1曲目というアルバムは、UK公式アルバムではこれが唯一かと思うが、ジョージとしては「してやったり」と思ったに違いない。それだけ実力と自信がついてきた証でもあると思う。

さて曲のほうは、いきなり怪しげなカウント・インの声で始まるが、これはフェイクで、実際のカウントは咳のあと、後ろのほうで小さく叫んでいる声のほう。ちなみに、声のカウント・インで始まる曲は、この曲と I Saw Her Standing There、Sgt. Pepper's (Reprise)、Yer Blues の 4曲のみ。

この曲で特徴的なのは、ベースの音。クリアな音色で「トッタータトテー」というようなタイトなフレーズを繰り返している。これに、2拍 4拍で短いギター・コードが入り、ベースと相まってなんともリズミカルである。ドラムもシンプルにキックとスネアのみで、時々入るシンバルやタンバリン、カウベルがアクセントになっている。

ギター・コードで印象的なのは、Aメロ中ほど、ボーカルの 1フレーズの後の「ジャッジャー」と演奏している D7(+9)のコード。ジャズでよく使われるコードではあるば、これはなかなかインパクトがある。そして、間奏とエンディングのギターソロもなかなか過激。税務署に対する怒りが爆発しているような感じがする。

この曲の聴きどころは、サビ "If you drive a car..."からの、ボーカルの掛け合い。まず、ジョンとポールによる完璧なコーラスでのボーカルが入り、その途中からジョンとポールを遮るようなジョージのボーカル "I'll tax the street" が入る。ここがビートルズと税務署とのやりとりのようで面白い。さらに歌詞の韻の美しさもある。car に対して street、sit に対して seat、cold に対して heat、walk に対して feet、というよう見事な韻を踏んでいる。実際にはそこまで課税対象にはなっていないと思うが、高額納税に対する皮肉が存分に表現されていて、思わず笑ってしまう。

キーは Dメジャー で、Aメロからのコードは D7。途中で D7(+9) のアクセントが入り、"'Cos I'm the taxman" からは C7→G7(+9)→D7 となっている。全般的にセブンス・コードを多用していて、ブルージーな感じが出ていると思う。サビのコードも D7 と C7 で似たような感じ。しかし、エンディングの "And you're working for..." では、F となり、ちょっと響きに変化を出している。いかにも、「もうあきらめなさい」みたいな税務署の勝ち誇ったようなセリフが聞こえてきそうで、なんとも切ない。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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