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ビートルズ "You Won't See Me"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 104回目、今日の楽曲は...

アルバム RUBBER SOUL A面 3曲目 "You Won't See Me"

サウンド:★★★
メロディ:★★★☆
リズム :★★☆
アレンジ:★★★☆
第一印象:★★★☆
スルメ度:★★★☆
独創性 :★★★
演奏性 :★★★★☆

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

当時のビートルズ・ナンバーとしては、珍しく 3分超えの「長い」曲。ストレート感があり、ポールのダブル・トラック・ボーカルが、なんともさわやかな曲である。バッキングは、ポールが奏でるピアノがメインになっており、シンコペートされたそのリズムは、ボーカルをぐいぐい引っ張っていく感じがする。

この曲は、聴きどころ満載である。まず、ベース。流れるような 8分音符のラインを描き、ランニング・ベースの先駆けとなった曲ではないかと思う。そして、コーラス。2コーラス目からの "woo... la la la..." が、半音下降のラインを形成しており、なんとも美しい。そして、Aメロ最後では。今度は 4分音符で "You won't see me" と半音上昇のバック・コーラスを入れている。このあたりのコーラス・ワークが、なかなか絶秒である。

ギターは、スネアと同じ 2拍と 4拍のタイミングで短いコードを鳴らしているだけで、シンプルではあるが鋭い音がこの曲を引き締めている。この曲には、いわゆる間奏ソロ・パートがなく、ほぼ全曲にわたってボーカルが入っているという構成になっている。ライブでは、ほぼ歌いっぱなしになるので、ボーカル担当はさぞかし疲れるだろう。

ドラムも何気に複雑ことをしている。Aメロ "When I call you up..." の毎小節 3拍目の裏に、ハイハットが「チチチッ」というリズムを刻んでいる。オーバー・ダブではあるが、ちょっとしたアクセントになっている。そして、要所要所に入る16分音符のフィルインも、タムであったりスネアであったり、タムも低い音から高い音へ移るなど、通常の逆の回し方をしていて、なかなか秀逸である。この低いタム→高いタムへのタム回しは、リンゴ独特の奏法で、のちの The End のドラムソロでも聴くことができる。

キーは Aメジャー。Aメロのコード進行は、A→B7→D→A となっており、半音下降のクリシェ(E→D#→D→C#)となっている。サビ "Time after time..." からは、Bm→Dm→Ddim→A→B7→E7sus4→E7 という進行で、マイナー・コードを取り入れ、雰囲気をガラっと変えている。ここでの注目コードは B7。このコードでまた雰囲気が変わり、盛り上がるような感じで次の Aメロのメロディにうまくつなげている。

また、サビの最後の部分では、ジョンによる定番の掛け追いコーラス "No, I wouldn't, no, I wouldn't" が入っており、最後までコーラスのすばらしさが堪能できる。全般を通じてボーカル系のアレンジがすばらしい作品である。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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