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ビートルズ "Fixing A Hole"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 80回目、今日の楽曲は...

アルバム SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND A面 5曲目 "Fixing A Hole"

サウンド:★★★
メロディ:★★★☆
リズム :★★★
アレンジ:★★★☆
第一印象:★★☆
スルメ度:★★★☆
独創性 :★★★★
演奏性 :★★★☆

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

イントロは珍しく、シンプルなハープシコードで入る。そのハープシコードの音は、曲中でも伴奏で使われており、そのせいか曲全体的にちょっと異様なムードが漂っている。ポールのボーカルラインも、メジャーのようなマイナーのような曖昧なフレーズが多く、それに伴い、コード進行もやや複雑になっている。

キーは、一応 Fメジャーかと思う。イントロの 3小節は 2/4拍子で、頭から F→Caug→Fm7 ときて Bb7 で 4/4 拍子となる。ここで注目すべきは 4/4拍子からのハイハットのリズムである。イントロ 3小節はイーブン(跳ねないリズム)であったのに対し、4/4 からは、シャッフルのリズムになっているのである。このリズムの変化が異様な雰囲気をよりいっそう強調させているように思える。

Aメロ "I'm fixing a hole where..." からのコード進行は 2拍ごとに、F→Caug→Fm7→Fm6 ときて、このあとは 1小節ごとに Fm7→Bb7→Fm7→Bb7... という進行になっている。Fマイナー系のコードが多用されていて、キーがメジャーでありながら、何か寂しげな印象がするように思える。

Bメロの途中 "See the people standing there..." からおもむろに入るギターが、なかなか渋い。低音域を使って、歪み系サウンドでリズミカルなカウンター・フレーズをジョージが弾いている。このとき、ポールのボーカルラインが無茶苦茶単調で、4小節にわたりほぼ同じ音 (G音)なのである。この単調なボーカルラインゆえ、ギターのカウンター・フレーズが際立っているのではないかと思う。そして間奏になると、いかにもメジャース・ケールと言わんばかりのギターソロが入り、後半はシンコペーションで曲をぐいぐい引っ張っていく。

ところで、ジョンはこの曲ではコーラス以外は特に何もしていないようだ。ジョージ・マーティンが弾くハープシコードのコードワークを、もしジョンが J-160E で弾いていたら、もっとバンド・サウンドよりのミックスとなっていたかもしれない。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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