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ビートルズ "She's Leaving Home"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 81回目、今日の楽曲は...

アルバム SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND A面 6曲目 "She's Leaving Home"

サウンド:★★★
メロディ:★★★☆
リズム :★★
アレンジ:★★★
第一印象:★★★
スルメ度:★★☆
独創性 :★★★
演奏性 :★★★

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

ストリングスとハープがおりなす、重厚なクラシカル風味の 3拍子。特に。イントロのハープの音が、際立ってきらめいているようである。ビートルズ全曲の中で、ここまでハープをメインに出した曲は他にはなく、もはやバンドでおいそれとできるものではない。いわゆるコピーバンド泣かせの代表曲である。というか普通、こんな曲をライブでやろうとは思わないだろう。

文献によると、レコーディングに参加した外部ミュージシャンは、バイオリンが 4人、ビオラが 2人、チェロが 2人、ダブルベースが 1人、ハープが 1人の計10人。ビートルズのメンバーは演奏には参加しておらず、ポールがリード・ボーカル、ジョンがサブ・ボーカルをとっている。ジョージとリンゴはお休み。

キーは Eメジャーで、使用しているコードもごく普通のもの。転調もなければ変拍子もなく、きわめて正統派のワルツ・スタイルである。もっとも、ピアノやギターなどでコードを弾いているわけではないので、明確なコード進行というものは感じられない。むしろ、計算しつくされたストリングス・アレンジがこの曲のエッセンスなのである。ちなみにアレンジはジョージ・マーチンではなく、マイク・リーンダーという人とのこと。

サビの部分の、ポールとジョンの掛け合いボーカルが、なかなか見事な出来栄えかと思う。ポールが高音域のロングトーンで、"She...is leaving...home..." と歌い、1小節遅れでジョンが、やや低音域で "We gave her most of..." とはいる。ここはどちらかというと、ジョンのボーカル・ラインのほうがメインっぽい感じがする。

ところが、そのあとの掛け合いでは、ポールの高音域 "She's Leaving home after..." のほうがメインっぽくなり、ジョンの "Bye, bye" はカウンター・メロディのような感じとなっている。こんなところにも、ボーカル・ラインのマジックが隠されている。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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