古巣リコーの凋落に思う

コピー機が売れない!名門「リコー」の袋小路 | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
http://toyokeizai.net/articles/-/168815?display=b

こんな記事を見た。

会社の文化、風土、体制とのミスマッチを感じて退職したのが2007年12月。
リーマンショック前夜、社会人3年目、24歳だった。

辞めたとはいえめちゃめちゃ世話になった会社である。
すごくいい上司と先輩、お客様に育ててもらった。
営業という仕事の難しさも知った。
個人的な合う合わないで辞めたまでで、今でも何となく応援する気持ちがある。

そんな古巣がこの惨状である。

「凋落」や「惨状」という強い言葉を使っているのは、記事であげられている課題が当時と全く変わっていないからだ。

少し昔話をする。

有楽町辺りが自分の担当エリアだったのだが、毎日30件40件飛び込み営業してて骨身に染みたのは「コピー機とかプリンターに新規の需要なんかないな」ということだ。

だってもう持ってるもん。
持ってない会社なんかないもん。
既存のパイの食い合いだし、リコーゼロックスキャノンなら機械性能や品質、サービスで差別化できるとこほとんどないもん。

お客様から「必要ありません」という話を聞くたび「そうですよね」と納得してしまっていたので、一年目は全く売れなかった。
お客様からしたら「もうあるし壊れないしサービスに不満無い」ものを買い替える理由がないわけだ。

結果、一年目は結局コピー機一台も売れなかった。
年間の売上が30万円くらいで、100人の同期内でダントツの最下位だった。

その代わり自社でやってるアスクル的サービスはたくさん取れた。
「オフィスペーパーどこから買っても一緒ですよね。うちならアスクルより安くできます」
という営業トークでガシガシ新規口座を獲得していた。
ただそれは個人の売上にカウントされるわけではないし、当然営業所の数字になるわけでもない。
お客様がすごく喜んでくれるような話でもない。

あまりにもやれることがないので、お客様先で他社のコピー機を磨いてピカピカにしたり、スキャナーの設定を手伝ってあげたりしてた。

所長はそんなポンコツな新卒に対しても温かかった。
「高橋に任せてる市場でそんなにポンポン売れるわけがない。じっくり信頼関係を作っていけば必ず売れる時がくる。今は我慢して頑張れ」
そういうスタンスで接してくれた。
エース揃いの営業所だったので、チームとしての予算は毎月達成していた。
私の数字にはずっとゼロが並んでいたけど、それでも所長は私のいいところを見付けて笑顔で誉めてくれた。
ありがたかったけど、その優しさが正直辛かった。
むしろ「何で売れないんだ!」と罵倒してくれと思った。
毎月給料が入ってくるたび申し訳ない気持ちになった。

2年目以降急に売れ始めて、3年目には社長賞もらって会社のお金でグアム旅行に行かせてもらったりした。

所長の言っていた通りで、ゼロックスのプリンタードライバーのインストール手伝ったり、キャノンのスキャナーの使い方教えてあげたりしてたら「買い替える時は高橋さんから」というお客様が増えたのだ。
ポンコツなりに「何でもいいからお客様の役に立つことしよう」としてきたことが、時間をかけて数字になって返ってきた。

得意になった提案は「オフィス機器の最適化」だった。
上述した通りコピー機もプリンターも持ってないお客様はいない。
ただ
「こんな広いフロアに複合機一台だと向こうの人は取りに来るの大変じゃないのかな」
とか
「このファックス、そんなに使ってないのに場所取って邪魔じゃないのかな」
みたいな状況はよくあった。

そういうお客様に対して
「各島ごとに小さなプリンター一台ずつ置いた方が効率いいですよ」
とか
「ファックス内蔵の複合機にした上で紙出力やめてペーパーレスにしましょう」
みたいな提案をしてた。

やるほどに提案内容も磨かれていったけど、提案を聞いてくれる素地を作れていたのが大きかった。

有楽町辺りはまぁまぁビジネスの中心地なわけで、他社もある程度強い営業を配置しているはずだ。
ただし強い営業は既存顧客のフォローもあるし忙しいので、毎日飛び込みやってた私に潜在顧客を奪われた、という構図だったんだと思う。

昔話が長くなった。

当時から全社的に「コピー機だけで食っていけない」「ソリューション提案を」みたいな話はあった。
ただ何だかんだコピー機の会社なので、要は「今月何台コピー機が売れたか」が重視されていた。

「課題認識していたし対策も打ってきたけど10年間奏功しなかった」という現状は「停滞」ではなく「衰退」だし、安定した大企業であったのにこんな記事が出るようになったことは「凋落」と言っていいと思う。

縁もゆかりもない会社だったら「凋落しとんなー」で終わりだ。
でも新卒でとんでもなくポンコツだった私を育ててくれた会社なんだ。
育ててくれた尊敬する人たちが今も中で働いているんだ。

立ち直ってほしい、と切に願う。

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