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ご来場ありがとうございました【『マチネの終わりに』作品展 ・10人の現代美術作家× 平野啓一郎】

人形とその舞台背景をつくり、
撮影した立体イラストレーションを
つくっています。サイトウタカヒコです。


渋谷ヒカリエCUBE8での【10人の現代美術作家×平野啓一郎『マチネの終わりに』作品展】が先週終了しました。(『マチネの終わりに特設サイト
ご来場いただきまして、誠にありがとうございました。

(↑2日目の様子。アーティストたちと佐渡島康平さんとのトーク風景。作品がどうしてできたのかを短いながら話しました。全期間でもう少しで3,000人に届くほどのお客さんが来場しました。)

「一夜の模型」/サイトウ タカヒコ

生涯忘れないだろうというひと時がある。実際、最後まで忘れないだ
ろう。同時にもうそんな時は来ないのではと考える事もある。ただ、
なぜかその寂しさは、暖かくて優しい。小説内の一場面を元に、生きる途中で、何度となく回想する「ひと時」とは何かを描いてみた。
(キャプションより)

写真のなかの登場人物は蒔野と洋子です。
この作品は大きくわけて3つの要素から制作しました。


まず小説中盤のとある1シーンを制作の出発点のひとつにしています。
小説の中でももっとも美しいシーンのひとつではないかと思います。

また第1章の終盤には、ある出来事の終わりに
「この後何度となく回想されることになった」
「未来に傷つく度に、繰り返し、この夜の闇に抱かれながら見つめ合うことになる」という物語序盤の印象的な文章も、作品を作るための要素のひとつにしたいと思いました。

さいごは自分自身が小説について思ったことです。
前述のキャプションにも書きましたが、『マチネの終わりに』には
登場人物の人生にとって忘れることができないような
美しい「ひと時」が多くつまっていると思いました。
卒業や結婚のような節目ではないけれど、
その空間にいる人同士がおたがい確信できるような「ひと時」。
私自身も30代になり、小説を読みながら今まで自分にあった
そんな時のことを思い出すことが何度もありました。

作品では2人が一緒にいた1シーンの情景を再現しつつ、テーブルの上にのる模型のようなスケールとして、左右の2人がそれぞれ別の場所で、その時のことを思い出し、お互いのことを考えている姿としても描いています。
2人がのっているのはその1シーンで出てくるであろうテーブルです。


・・・生きることの間にある悲しいことや辛いことのただ中で、そんな「ひと時」を考えると、そんな時はもうないだろうと寂しい気持ちになることもあります。
ただそんな「ひと時」が、自分に対して暖かくて、優しい気持ちや明日を
迎えることへの可能性を持っていることもまた確かにあると思います。


『マチネの終わりに』を通して感じた、そんな暖かさや優しさのようなものを
ご覧になった方がこの作品から感じていただけたのなら大変嬉しいことです。
最後になりましたが、改めまして【『マチネの終わりに』作品展 ・10人の現代美術作家× 平野啓一郎】にご来場いただきましてありがとうございました!

『マチネの終わりに』特設サイト

サイトウタカヒコ Web portfolio














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