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使っている機材の話(Sony αシリーズの話)

昨年の10月、機材の大幅な入れ替えを敢行した。写真家にとっては多分マウントの変更というのはおおごとだろうと思うけど、僕もご多分に漏れずだいぶ悩んだ末に、メインの機材をSonyにしたのだった。その理由は単純で、背中の古傷のために右手で重いものを持てなくなってきたからだった。全体の機材を軽くする必要があった。特に2017年の前半ころから、長い撮影をしていると上腕部あたりに強い違和感を覚えるようになって、「これはいよいよだな」と思い始めてたところに、α9が登場。一気にミラーレスの「標準」が引き上がるのを目の当たりにして、ここしかないと思ってまずはα9を購入。それが大体5月頃。そこから5ヶ月間使って、10月に大きくすべてのシステムを刷新したのだった。それ以降購入した機材は大体こんな感じ。

ボディ α9、α7R3

レンズ 85/1.8、16-35/2.8、100-400/4.5-5.6、50/1.4、24-70/2.8、12-24/4.0

だいたいこんな感じで、総額はおよそ200万円程。仕事として使う機材なので、200万円はそれほど高くなく、これだけ買ってしまえば一通りの撮影はこなすことができる。ソニーの場合、レンズが少ないというのはある意味ラッキーでもあって、純正で揃えるとなると選択肢が多くないので機材を揃えやすい。あとはこれに70-200を買うか迷っているけど、今の所100-400で良いかなとも思ってる。表現力や明るさ、写りは圧倒的に70−200なんだけど、仕事の性質上、400まで伸びる距離の余裕を保険として持っておきたくて、しかも100-400は意外と寄ることもできるので、一応これで仕事用機材は完成かなという感じ。ズーム系が多いのは、風景の場合はどうしても「入れない場所」「いけない場所」があるので、単焦点だと足りなかったり近すぎたりのリスクが大きく、しかも前述の背中の怪我があるので、これ以上は機材を増やせないということもあって、ズーム中心で回す感じになっている。

αを使い始めてすぐに気づいたのは、とにかく体の負担が少なくなるということ。軽さは勿論のこと、液晶がどの機種もチルトなのがありがたい。以前は這いつくばって撮ってたローアングルや、むりやり三脚を伸ばして撮っていたハイアングルを、液晶をちょいと傾けたり手を伸ばせば、簡単に撮ることができる。手ぶれ補正の強力さと高感度の強さ、さらにはAFの強力さも相まって、「人間ができることの範囲」がすごく広くなった。その上、僕がメインで愛用している16-35/2.8の重量が、超広角域なのに600グラムちょっとと非常に軽く、現在メインで使ってるα7R3と一緒に持っていても手がしびれるようなことが全くない。

この「疲れが少なくなる」というのは、実は凄い重要なポイントの一つで、人間は疲れると集中力が途切れてきて、撮影地で粘りがなくなってくる。不満が残ってても「もう一枚、しっかり撮っておこう」みたいな気力がなくなってくる。特に僕のように、背中が常時痛むようなタイプの人間にとっては死活問題に近い。軽さというのは、長い目で見た時に一番重要なポイントだったのだ。それに比べると僕にとっては耐久性は二の次という感じで、壊れたら直すか買えばいいし、そもそも仕事に行く時にカメラ1台だけというのはほとんどないので、現地で2台同時に壊れるなんてことはほぼない。というか、僕はこれまでカメラを使ってきて、カメラを壊したという経験が一度もない。なので、他の性能が全部一緒だと、どうしても軽いものを優先して選ぶことになる。

αを使いだしていよいよ1年近くになるのだけど、基本はすごく満足している中で、たった一つ、これはどうしようもなくなんとかしてほしいというところがあって、センサーのゴミの付きやすさ。僕は特に風景なので野外でレンズを交換するのはしょっちゅうだけど、例えば風が吹いてる砂丘でレンズを交換するのは勇気が必要だった。普通の一眼レフ以上に、ホコリなりゴミがむき出しのセンサーに付きやすいので、そこが本当に神経質になってしまう点。でもこれも、近い内になんとかしてくれるんじゃないかと期待している部分ではある。1年使って、たった一つの短所がこれだった。

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