見出し画像

#404 本を読むなら胃もたれしたい

書店の店員さんと話をしていて、雑誌でも小説でも参考書でも、同じ価格ならページ数が多いものよりも少ないものの方が売れる、と言っていた。この15~6年ほどの間では、特に顕著らしい。もったいぶった前奏が続くより、0秒で歌い出す方が今どきなのと、ちょっと違うけれどちょっと似た傾向だと思う。

どうせお金を出すのなら、長かったり厚かったり多かったり重たかったりするものを、たっぷり時間をかけて楽しみたい……ってのは、すっかり昔の価値観になった。お弁当なんて、低カロリーであればあるほど、むしろ価格は高くなる。カロリーゼロの飲み物にお金を出すくらいなら、水飲んどけ……という言い分は、豊かになった世の中では通用しない。

とはいえ、本の場合はページ数が少ないからといって、内容が軽くていいわけじゃない。サラッと読めることと、なにも得るものがないことは全然同じじゃない。多くの本は、安くて手軽だけどカロリーをたっぷり摂取できる唐揚げ弁当であってほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?