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#490 ないない尽くし

本日発売の『ahead OVER50』2024年2月号では、「もういちど、リターン」と銘打った特集が組まれています。原稿を担当しているライターは4名いて、そのうちの3名は、河西啓介さん、松崎祐子さん、夢野忠則さん、と二玄社風味強め。残りの1名が、捨てネコ勢(=ネコパブを捨てたのか、ネコパブに捨てられたのかはひとそれぞれ)の自分です。

いつもは(一方的な)雑談をまじえた打ち合わせをして、なんとなく「あっちらへんかな」という方角を目指してキーボードをぽちぽち叩き始めるのだけど、今回は「なんか書け」で発注され、「なんか書く」で受領しました。それから2週間ちょいが経過し、いざ上がってきたゲラを読んだ時に感じた、先の3名のリア充っぷりと爽やかさたるや。今をしっかり生きてる前向き感が、殊の外まぶしかったです。

俺ですか。俺はといえば、だいぶじっとり。「~ない」という後ろ向きな平仮名が、1900字足らずの原稿の中、30ヶ所も散りばめてあったほどに下向きです。もっとも、これはこれでミッドライフ・クライシスのリアルかな、とも思っているのだけど、どうなんでしょね。

 「もういちど、リターン」なんて言われても、どうやったってあの頃には戻れない。戻れないどころか、周りの同年代はどんどん淘汰されたり、死んじゃったりして、だから否が応でも行く末のことを意識するようになる。

  (~中略~)

 リターンのことを考える。それはつまり、残された時間を考えることと、ほとんど対になっている。

  (~中略~)

 なんというか、人生の答え合わせが目の前に迫り、どうしようもない焦りが沸き起こってくる感覚がとめどない。

  (~中略~)

 中年の危機の主成分は嫉妬で構成されているから、他人の暮らしっぷりをひたすら羨み、妬み、大体最後は「なにがリターンだ。いいよな、金がある奴は」と吐き捨てたり、ため息をついたり。
  
  (~後略~)

『ahead OVER50』2024年2月号


やだ、暗……。あ、でも、締め括りの一節にだけは、取るに足らない希望のようなものを少し滲ませてみました。よろしければ、どこかで手に取ってみてください。と言ったところできっと無理なので、電子書籍も並行して出してくれるといいのだけど。


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