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「はじめての」フランス旅行

 これまで、あまり海外に行ったことがありませんでした。国内旅行ばかりに気を取られて、気付けば28歳。周りのみんなが欧米慣れしてゆくなかで、ぼくはアメリカもイギリスもフランスも、行ったことがなかったのです。そんな中、今月はじめてフランスへ行きました。

 旅の途中、僕はとある失態を犯してしまいました。そんな僕に、彩乃さん(妻)が「私のはじめてのシャンゼリゼはもう戻ってこないのに」と言いました。ハッとしました。かつて写真家の奥山由之くんが写真展に掲げたこの言葉が浮かびました。

"はじめて"は、みな平等に一度しか訪れません。

 そうか、この歳で体験する「はじめて」ってすごく貴重なのかもしれない。そう気付いたのでした。だから、この「はじめての」体験を忘れないうちに、ありのままの感想を写真とともに日記にまとまめることにしました。旅行をたくさんしている、フランスを詳しく知っている方には、こんな初心者みたいな日記は絶対に書けないと思ったからです。逆転の発想。

 でも、すでに何度もその国へ訪れた人にとっては、きっとつまらない内容でしょう。また、フランスへ行ったことがない人が日記を読んでしまうと、いわゆるカルチャーショックが半減してしまう恐れがあります。だから、誰でも迂闊に読んでしまわぬよう、途中以降をあえて有料noteとしました。じゃあ誰に読んでほしいのか全くわからないのですが、もし同じような「はじめての」を体験したい人、例えばフランスへ行こうか悩んでいた人にとって、少しでも何かが変わればいいなと思ったのです。

 むしろ、いろんな方のいろんな「はじめての」体験談が集まればいいなあとも思います。是非noteにでも。名付けるなら「はじめての」シリーズでしょうか。「はじめての」就職、進学、起業、引退。よくよく考えると、人生には「はじめて」が満載ですから。

 それでは、ぼくの「はじめての」フランス旅行記。ハーフで撮影したフィルム写真とともに。たった6日間(実質現地は4日間)という短い旅でしたが、よろしければ、是非お読みください〜!

1〜2日目
・13時間の空の旅
・冴えない夜明け
・港町オン・フルールへ
・フランス語をカフェで学ぶ
・憧れだったモン・サン・ミッシェル

3日目
・5時間かけてヴェルサイユへ
・カフェのクオリティと物価の高さ
・お土産はどこで買う?
・ホテルにアメニティがない!

4日目
・治安が悪いというメトロを使ってみる
・順路のない美術館
・パリは小さい街というけれど?
・最悪のシャンゼリゼ

5〜6日目
・百貨店での買い物のススメ
・綺麗なトイレはどこにある?
・いよいよ帰国
・旅を振り返って(まとめ)


そもそも、なぜフランスへ?

 「一度でいいから、花の都・パリを見てみたい。別にどこか切実に行きたいわけじゃない。その町の空気に触れたいだけ」。10月頃、彩乃さん(妻)が言った。何の気なしにネットでツアーを見てみると、年始にめちゃくちゃ安いツアーがある。直行便で現地移動付き、パリでの自由行動も2日間ついて16万円。「これは申し込むしかないね」。そんな軽はずみなノリでフランスへ行くことになった。

 正直、ぼくは最初はあんまり乗り気じゃなかった。12月には大規模なデモが勃発し、ぼくの不安をさらに煽る。「フランスってめっちゃ治安悪いらしいやん・・・。ヨーロッパならドイツとか東欧とか、あの辺の方が気になるんだよなあ」と思いながら、フランスについてあまり調べることもなく、年末年始を迎えることになった。

 しかし、旅行のパワーは不思議なものである。出発2日前くらいになると「そうか、フランスへ行くのか」と突然やる気になり「地球の歩き方」を買って、現地情報を収集。気になるショップやカフェを全てグーグルに記録し、(現地では防犯のためにあまりガイドマップを見ない方がいいと書いてあったので)単語帳や主要地図を全て撮影していつでもスマホで見られるようにした。旅行の時にはほとんど着替えを持っていかないので、2人分合わせても、荷物は1人旅用の小さなトランクケースとバックパックだけ。現金は300ユーロだけ準備してそれぞれポシェットに忍ばせる。ついにフランスへ行く準備が整ったのであった。


1〜2日目

13時間の空の旅

 今回の飛行機はエールフランス直行便。しかも羽田発。非常に便利である。夜の21時に空港に集合し、ツアーの点呼をとる。そこからパリまでは個人で移動だった。

 長旅に備えて、枕と足を乗せるための(前日にロフトで購入した)ハンモックを持参。いつでもトイレに行けるよう、通路側の席を確保した。3人掛けの席だったが、なんと直前に窓側のフランス人が席を移動し、2人で3人分の席を利用できるという幸運なスタートを切った。フランスまでは約13時間。夜ご飯を食べて映画を見、ビールを飲んですぐに熟睡、あっという間のフライトだった。

 シャルル・ド・ゴール空港に着いたのは朝の4時。入国審査の紙もなく、入国をして荷物を受け取るとすぐに外に出られた。「ここはもうフランス。気を抜くな俺・・・!」と謎のプレッシャーをかける。

冴えない夜明け

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