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落ち着く場所が見つからない。

仕事を終えて、帰る場所。自宅はつねに安住の地であるべきだと思う。だが、東京へ来て10年。8回の引越しを経てもなお、それは見つからない。

今年4月に1年半ぶりの引越しをした(僕にとっては比較的長く住んだ方)。理由はシンプルで、新しく購入したドラム式洗濯機が通路を通らずに搬入できなかったから。自分でもバカだなあと思うが、せっかく手に入れた高級家電を無駄にはできず、すでに2年の更新も迫っているからという理由で、引越先を探していた。

そんな中で、立地は少し悪いがバス停も近くにあるし、なにより内装がドンズバにタイプのリノベ物件を見つけた。前回と同じ1階で、若干家賃は上がるものの、広さは1.5倍くらいになる。2LDKをぶち抜いたワンルームのお部屋で、一目見て気に入った。その日の夜、妻と居酒屋で飲みながら、ほろ酔い気分で申し込みをした。実際に引越しを終えて、最初はとても満足していた。渋谷までの距離はそれまでの倍以上になったが、週末は気に入ったお家でゆっくりすればいいやと考えていた。

だが、その生活に疲れ始めたのが6月末頃。遠いというだけでなく、街の生活リズムが自分たちに完全にあっていないということを感じ始めた。(世田谷区のど真ん中で専業主婦が多いからか)駅前のスーパーは9時にしまってしまう。共働きの僕らには不可能な時間。結局家からさらに遠くにあるスーパーまで買い出しをすることになり、帰宅時間はさらに遅くなった。

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梅雨が来て、大きな問題が発生した。打ちっ放し故の湿気問題。油断して除湿もしていなかったから、気が付いた時には竹かごの大半にカビが生えていた。こんなに湿気がすごいとは思っていなかったので、驚いたし、綺麗にならない竹かごは捨てることになった(1つ7000円くらいしたのに・・・泣)。

というわけで、今年は夏の間ずっとクーラーを付けっ放しにした。もうこれ以上湿気て欲しくないし、湿気のせいか虫もめっちゃ増えた。いくらオシャレでも、お家が快適ではなくなってしまった。しかも、この距離感。日に日に、お家へ帰りたくなくなった。

そんなわけで、この度引越しをすることになった。条件に合う物件を探しに探し、見つかったタイミングで即契約した。違約金もかかるし、何もしてくれない(というと失礼かもしれないが)不動産仲介に手数料を払うのは本当に嫌だったけど、それでも2人の生活をとることにした。

わがままだと言われればそれまでだし、そんな理由で数十万を捨てるのはバカだと思われるかもしれないが、どうしても日常に耐えられなかった。人それぞれ閾値が異なるとすれば、僕らのそれは相当に低い。だけど、低いからといって、別に高いところに合わせることはないだろう。また、新しい場所を求めて、逃げてしまった。東京へ来て8回目の引越し。

ちなみに最初と最後の写真は引越しのたびにお世話になっている目黒区役所。村野藤吾の建築。今回もまたお世話になる。次の新居が果たして寛げるのかといえば、わからない。正直そろそろちょっと怖い。東京に住む年数が長くなるほど、なぜか過ごしづらさが増している。これでも満足できなければ、僕らはどこへ行けばいいのだろうか。

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