北海道立近代美術館

仕組まれた体験ばかりの世の中で

ここ最近ずっと海とか湖とかばかり載せてきて(自分がそうすると言ったんだけど)、まだまだ候補はあるんだけど飽きてきたので、ちょっと違う場所を取り上げて行こうと思った。

お盆真っ只中、子どもが街中で楽しそうにはしゃいでる光景をよく見る。子どもたちは真っ直ぐな瞳で、気になったものになんでもペタペタと手で触れてみる。人のものに触れて、親が慌てて謝る、なんてこともよくある。

子どもたちが気になるものに手を差し出すという行為自体はとてもいいことだ。自分の目で見て、手で触れて、それがどんなものかを知っていく。怪我をして、危険なことを学ぶ。

しかし、危険回避ばかりが叫ばれる現代においては、してはいけないことだらけで、子どもたちはつねに守られている。というか、大人の作った監視の中に生きているのかもしれない。「子どもが体験するべき50の危険なこと」という大好きな本があるのだが、たぶんこの本はほとんどの親には受け入れられない。

北海道にある「北海道立近代美術館」という美術館で、昨年夏に子どもが自由に触れていい展示をやっていた。普段は絶対に触れられないような美術作品に触れてみようという趣旨で、夏休みの子どもたちが楽しそうに展示物を触っていた。

ここさ太田實による建築自体が本当に素晴らしいので、そう言った点でもいくべき価値のある美術館だと思う。

とにかく、体験というわりには、作られた体験というか、意図された物語を楽しむだけのRPG的な遊びが増えてしまったなと思う。美術館では順序が決められていて、撮影していい作品が1つか2つ決まっている、みたいな。みんなそれをインスタグラムにあげて、褒め称える、という流れだ。

体験は与えられるべきものではない。自発的にすべきものだ。ビジネスにおいても、教育においても、コト消費だの体験だのという前に、自発的行動から考えることが学ぶことになるという、本質を知らない大人が多すぎるように思うのである。

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