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不屈の男・深井一希がずっと抱えていた『影』。暗い闇を抜けた先に芽生えたA代表への想い。

北海道コンサドーレ札幌のボランチ・深井一希の視界は今、一気に開けようとしている。

彼は過去に3度の前十字靭帯断裂という大けがを負っており、その度に復活して激しく戦うプレーを見せることから、コンサドーレサポーターから『不屈の男』と呼ばれている。

(写真は2011年のU-17W杯メキシコ大会での一枚。下の部分でも懐かしい写真を掲載しています)

北海道に生まれ育った深井は、小学生の時からコンサドーレの下部組織でプレーし、2013年にトップ昇格。だが、その年の11月に左膝前十字靭帯断裂を負い、復帰から1ヶ月後の2014年8月に逆足の右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷を負った。

そこからレギュラーを掴み取ったが、2017年4月2日のJ1リーグ第5節のアウェー・ヴァンフォーレ甲府戦の14分、相手のボールに寄せて行った際の足の着地で、再び彼の膝は悲鳴を上げた。

「足をついた瞬間に『ゴリ』っという音を聞いた」。

その場でうずくまると、担架で外に運び出され、そのまま交代となった。そして、その翌日に札幌に戻って左膝前十字靭帯断裂と半月板損傷と診断された。

「やっぱり『大きな怪我を3回やったら選手生命を断たれる』というイメージがあるんでしょうね。でも、そういう声を聞いて、やっぱり見返したいというか、『そう思われた通りになりたくない、絶対に復活してやる』と、反骨精神に変わった」。

必死のリハビリを経て、2018年1月の沖縄キャンプで復帰を果たすと、浦和レッズとの練習試合で実に300日ぶりの実戦復帰。昨年は1年を通してボランチとしてプレーし、チーム史上最高順位となるJ1・4位躍進に貢献をした。

「3回も前十字靭帯を怪我している選手ってなかなかいないですよね。でも、僕は今、こうしてプロとしてプレーし続けられている。この事実で何か新境地に達したというか、逆に幸せを噛み締められているんです」。

彼は昨年、こう語っていたように、怪我なくプレー出来ていることに対して充実感を得ていた。この時は間違いなくこれが本音だった。

しかし、実はこの時、心の奥に彼は大きな『影』を抱えていたのだった--。

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