- 運営しているクリエイター
記事一覧
動物学的観点から見ても内の2、3番手こそ勝利への最短ルートだ
今年の有馬記念も枠順抽選が公開で行われる。ヤンキースの田中将大投手がジェンティルドンナを最初に引き、ジェンティルドンナ陣営は2枠4番を選択した昨年のドラフト制と違い、今年は単純に抽選で枠順が決定されることになった。昨年のシステムは画期的であったにもかかわらず、1度きりで終焉を迎えることになったのは、公正競馬を謳う日本中央競馬界にとって不都合な真実が表面化してしまったからではないだろうか。なんて書く
もっとみる喜怒哀楽に緊張、リラックス、馬の精神状態は耳でわかる
「レースやパドック、返し馬で馬のどこを見ているか?」と聞かれたら、迷うことなく「耳」と答える。私が耳フェチなわけではない。たくさんあるサラブレッドの身体の部位の中で、なぜ耳を中心に観察するかというと、馬の心理状態が最も端的に表れるからである。耳には馬の感情がストレートに表れてしまうので、私たちが馬の気持ちを知る手がかりとなることが多い。調教師や厩務員、ジョッキーなど、馬に携わる人々は、馬の耳の動き
もっとみる父譲りの差し返しを期待させるダイワメジャー産駒
サンデーサイレンス産駒と聞くと、瞬発力や鋭い末脚を連想するのは私だけではないはずだ。ディープインパクトを筆頭に、ダンスインザダーク、マンハッタンカフェ、アグネスタキオン、ハーツクライ、デュランダルなど、日本の競馬では勝ち味に遅かったステイゴールドは別として、距離の長短を問わず、ラスト3ハロン33秒台の脚を使って、届きそうもないところからでも差し切ってしまう。そして、これらのサンデーサイレンス産駒の
もっとみるダート競馬の予想で迷ったら、馬体重の重い方を狙え
競馬を始めて3、4年目ぐらいから、地方競馬にも足繁く通うようになった。週末の中央競馬だけでは物足りなく、大井、川崎、船橋、浦和といった南関東の競馬場にも遠征した。最近も旅に出ると、その土地にある競馬場、たとえば金沢、盛岡、門別、園田といった競馬場にふらっと足を運ぶ。こうした競馬場で馬券を買うときは、出走馬たちの情報をほとんど知らないことが多い。パドックで歩いている姿を見たり、前走までの着順や着差を
もっとみるジャパンCの外国勢は凱旋門賞で負けた馬を狙え
ほとんどと言ってよいほど季節感のない私が、11月も末になると底冷えのする寒さになることを知っているのは、1995年のジャパンカップの日、朝から東京競馬場のスタンドに座り続けていたからである。ヒシアマゾンという牝馬を応援するために、いやジャパンカップを勝つ場面に何としても居合わせたいという熱い想いを秘めて、始発の電車に乗り、開門と同時に門をくぐったのであった。
あの日は午前中からすでにたくさんの競
サラブレッドの距離適性は年齢とともに変化する
サラブレッドには距離適性がある。距離適性は各馬の体つきや筋肉の質、また気性によっても異なる。短い距離を得意とするスプリンターから、長距離でこそ良さが生きるステイヤーまで、それぞれに適した距離で走ることで自身の持つ能力を最大限に発揮することができる。馬は自分で距離適性を主張することができないため、競走馬にたずさわる関係者たちの重要な仕事のひとつに、距離適性を見極めることがある。しかし、競走馬の距離適
もっとみる斤量の影響を考えるときには、「馬体重の12%」がひとつの目安になる
凱旋門賞3連覇を狙ったトレヴは3歳馬ゴールデンホーンの前に力尽き、そのゴールデンホーンは史上初の凱旋門賞とブリーダーズカップターフの両制覇に挑んだものの、同じく3歳馬である牝馬ファウンドに敗れてしまった。3連覇や両制覇の難しさを感じると共に、大レースにおける3歳馬の強さを思い知らされた。
特に凱旋門賞は3歳馬にとって有利なレースとされ、実際に最も優勝回数が多く、過去10年間においても7勝を挙げて
“勝つためのポジション″を走った馬が勝つ
競馬には勝つためのポジション(以下、勝ちポジ)が存在する。競馬は強い馬が勝つわけでも、勝った馬が強いわけでもなく、勝ちポジを走った馬が勝つということである。そして、ダートレースは、芝のレースに比べて、勝ちポジが限定される。芝のレースよりもダートレースの方が勝つために走らなければならないポジションが少ないということだ。そのため、ジョッキーたちは勝ちポジを走らせようとしてポジション争いが激化し、当然の
もっとみる同じカテゴリーのGⅠでも…ローテーションには相性がある
競馬には勝っていいレースと、勝ってはいけないレースがある。いきなりそんなことを書くと、八百長を疑われるかもしれないが、そうではない。競馬というスポーツは、たとえどれだけ強い馬であっても、同じ馬が全てのレースを勝つことができないようになっていて、時には上手に負けなければならないレースがあるということだ。勝利と敗北はいつもコインの裏表のように、今日の勝利が明日の敗北につながるのである。
たとえば、天
ダートを走っているからといってダート馬とはかぎらない
私にとってのベストレースのひとつに、マヤノトップガンが勝った1997年の天皇賞・春がある。サクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデーという3強の争いになったこのレース。休み明けで気がはやる横山典弘騎手のサクラローレルを追いかけるように武豊騎手のマーベラスサンデーが仕掛け、2頭のデッドヒートで幕を閉じるかと思われた矢先に、最後まで死んだふりをしていた田原成貴元騎手のマヤノトップガンがゴール
もっとみる