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「超・馬券のヒント」vol.1

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週刊Gallopにて連載中の「超・馬券のヒント」を全文掲載。馬券に関するテーマに沿って本命を導く、新しい予想型コラム。
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記事一覧

現代のダービーにおいて「運が良い」とは内枠を引くこと

現代のダービーにおいて「運が良い」とは内枠を引くこと

競馬は強い馬が勝つわけではなく、勝った馬が強いわけでもなく、勝つためのポジションを走った馬が勝つ。ほとんどの人は賛成しないかもしれないが、これは大切な真実である。力が抜けている馬であれば、どこのポジションを走ろうとも勝つことができる。後ろから行こうが、大外を回そうが、脚の速さの違いでねじ伏せることができる。しかし、各馬の実力が拮抗する重賞レース、特に世代の頂点に立つ馬を決める日本ダービーには、勝つ

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オークスは「桜花賞で外を回らされて敗れた馬」が巻き返す

オークスは「桜花賞で外を回らされて敗れた馬」が巻き返す

オグリキャップが引退した年に競馬を始めた私が、四半世紀にわたって日本の競馬を見つめてきた中で、大きな潮流の変化のひとつとして、レースのスローペース化がある。その根本の原因は定かではなく、またひとつでもないが、日本の競馬がヨーロッパの薫陶を受けてきたことの影響は大きい。日本の最強馬にとっての最終目標が凱旋門賞であることからも分かるように、日本の競馬関係者はヨーロッパに傾倒し、その傾向はますます強まっ

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東京マイル攻略の鍵「中山芝千八の実績にだまされるな」

東京マイル攻略の鍵「中山芝千八の実績にだまされるな」

ヴィクトリアマイルの出走登録馬の中にその名前を見て、嬉しく思ったのも束の間、ホエールキャプチャは左前脚に不安を発症してしまい、現役を引退して生まれ故郷の千代田牧場に戻ることが決まった。ホエールキャプチャは今年で7歳、ヴィクトリアマイルへの出走はこれで4年連続となるはずであった。4歳時にヴィクトリアマイルを制してから、その翌年もハナ差の2着、昨年は4着と年齢を感じさせない走りを見せていただけに残念で

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NHKマイルCの鉄則は「NZTで負けた馬を狙え」

NHKマイルCの鉄則は「NZTで負けた馬を狙え」

3歳馬のマイル戦におけるチャンピオンを決めるNHKマイルCと距離が同じであり、本番までの間隔も中3週と最適なニュージーランドT(以下、NZT)には、NHKマイルCを本気で狙う有力馬たちが集まり、互いに力を確かめ合う。しかし、これら2つのレースは条件が違う以上、そこでの着順や着差はあくまでも暫定的であるにもかかわらず、私たちはどうしてもその結果に目を奪われてしまう。

それで良かった時代もあった。1

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競走馬のスタミナと人間の薄毛は父よりも母の父の影響大

競走馬のスタミナと人間の薄毛は父よりも母の父の影響大

春の天皇賞はスタミナがなければ勝つことができない。とはいえ、現代の日本競馬では3000m級の距離のレースは数限られており、また古馬のG1級のメンバーで争われるようなレベルの高い長距離レースはほとんどないため、各馬の絶対的なスタミナの有無を見極めるのは案外難しい。実際のレースや走りからは見極めにくいとなれば、私たちに残された手がかりは血統、具体的に言うと、その馬の母の父を見るべきである。なぜなら、ス

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データも大切だが、ときには人を見てみるのも面白い。

データも大切だが、ときには人を見てみるのも面白い。

競馬はサラブレッドと人間が織り成すドラマである。主役は馬であり騎手であり、彼らが表舞台に立って演じる数分間のドラマを、私たちは観戦し、馬券を買って応援することができる。私たちの目に焼き付いて、記憶に残るのは、華やかな活躍を見せてくれた名馬や名ジョッキーたち。しかし、その光の陰には、1勝も挙げることなくターフを去った馬たちや名を知られることなく鞭を置いたジョッキーらが存在する。彼らは能力がなかったわ

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弥生賞が皐月賞に直結しにくい3つの理由とは…?

弥生賞が皐月賞に直結しにくい3つの理由とは…?

3歳の有力馬たちがこぞって弥生賞をステップレースとし、皐月賞から日本ダービー、菊花賞へと続くクラシックロードを駆け抜けた時代があった。皐月賞と同じ舞台設定で行われる弥生賞が本番前の試走として最も相応しいと考えるのは、当時としては当然のことであり、弥生賞を勝つような馬がその世代の中でも一歩抜きんでた力を持つ存在であることは、誰の目にも明らかであった。たとえば、ウイニングチケットやダンスインザダーク、

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牡馬相手に1800mの重賞を勝ったという事実が意味すること

牡馬相手に1800mの重賞を勝ったという事実が意味すること

現3歳馬世代が誕生した2012年における、サラブレッドの生産頭数は6828頭。そのうち牝馬と牡馬の割合はおよそ半々になるため、それぞれ3000頭前後の牝馬と牡馬が、どこかの競馬場でデビューし、相まみえて競走を行ってきたことになる。サラブレッドの競走は、人間のそれと違い、基本的には女馬と男馬が一緒になって走る。たとえばヴィクトリアマイルやクイーンSなどの牝馬限定のレースもあるにはあるが、JRAの競走

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見ればその馬のすべてが分かる、ウソをつかない立ち写真

見ればその馬のすべてが分かる、ウソをつかない立ち写真

馬の立ち写真を見ればすべてが分かる。その馬の肉体的特徴から距離適性、調子の良さ、気性に至るまで、たった1枚の写真の中には実に多くの情報が詰め込まれている。「調子が良いと言われていますが、どうやらピークを過ぎてしまったようです」、「精神的に参っています」など、馬体を通して馬は雄弁に語りかけてくる。私は馬券の予想における大きな部分を、馬の立ち写真を見ることに依っている。どうしても先入観や主観にまみれて

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「短距離G1は若い馬」の常識にかからぬ騸馬【超・馬券のヒント第1回】

「短距離G1は若い馬」の常識にかからぬ騸馬【超・馬券のヒント第1回】

短距離のG1レースでは若い馬を狙うべきである。スプリンターズSでは4歳馬、高松宮記念では5歳馬が中心となる。短距離馬は競走馬として完成するのが早いため、4、5歳の時点でピークを迎える馬が多いからである。そして、短距離馬のピークは短い。ここで言うピークとは、絶好調である期間のこと。ピークが長い長距離馬に比べ、短距離馬はピークが圧倒的に短い。長距離馬を線香花火だとすると、短距離馬は打ち上げ花火のように

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