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G1レースでは距離延長馬ではなく短縮馬を狙え

競馬を始めたばかりの頃は、1200mと1600mの距離のレースの間には、それほど大きな違いがないと思っていた。同じように、1600mだろうが2400mだろうが、距離がレースの勝敗に与える影響はごくわずかだと感じていた。なぜかというと、オグリキャップがマイルチャンピオンシップや安田記念で他馬を圧倒しながらも、有馬記念を勝ち、ジャパンカップでは激闘を演じていたからだ。バンブーメモリーが安田記念を勝ち、マイルCSではそのオグリキャップとハナ差の勝負を演じながらも、スプリンターズSを突き抜けるのを目の当たりにした。走る馬は走るし、そうではない馬はそうではない。いわば距離不問の時代があった。

しかし、競走馬の距離体系が少しずつ整い始め、私も馬券と深くかかわるようになるにつれ、わずかな距離の違いが勝敗に大きな影響を及ぼすことを知ることになった。1ハロン(約200m)の違いはもちろんのこと、地方の競馬場に行けばその半分の100mでさえ、天国と地獄を隔ててしまう壁になるということを学んだのである。特にレースのレベルや格が高くなればなるほど、わずかな距離の差が勝ち負けを左右することになる。

距離延長について考えてみると、たとえば1200m→1400mと少しずつ距離を延ばしてレースを使われてきた馬は、実は距離に不安のある短距離馬であることが多い。私にこのことを教えてくれたのはリトルオードリーという牝馬であった。1996年の牝馬クラシック戦線にて、新馬戦(1200m)→紅梅賞(1200m)→4歳牝馬特別(1400m)と距離を延ばしつつ連勝し、本番の桜花賞では1番人気に推された。私は迷いなく本命を打っていたが、彼女は人気を裏切る形で9着と凡走した。このとき私は、馬券が外れた悲しみに暮れつつも、1400mとマイルの間にある壁は、1200mと1400mのそれ以上に厚い。たとえ1400mまではスピードだけで押し切れても、マイル戦は豊富なスタミナがなければ克服することができないと知った。

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