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先輩が後輩を育て、後輩の存在もまた先輩を強くする

リオオリンピックの卓球の女子団体で、福原愛、石川佳純、伊藤美誠の3人が胴メダルに輝いた。まだ幼い頃から卓球一筋に取り組み、その情熱と技術をオリンピックという大舞台で発揮する彼女たちの姿に目を奪われた。それだけではなく、彼女たちのチームワークの素晴らしさ、お互いに寄せる信頼や尊敬の強さが、地球の裏側から伝わってきて、心を動かされた人々も多かったのではないだろうか。私もその一人である。

3人のうち、最年長は「愛ちゃん」こと福原愛で、1988年生まれの27歳。次が石川佳純で、1993年生まれの23歳。最年少が2000年生まれの伊藤美誠でなんと15歳。まるで3人姉妹のよう。次女の石川も三女の伊藤も、長女の福原にあこがれ、目標として、小さな頃から卓球ボールを打ち続けてきたという。そんな3人が一緒に練習し、合宿で生活を共にして、オリンピックに向けてひとつになったのだ。同じ時間と場所を過ごすことで、お互いに刺激を与え合い、大きく成長を遂げた結果の銅メダルだと思う。

競馬でも同じようなことがある。馬は集団性の強い動物であり、周りにいる馬たちに大きく影響を受けやすい。強い馬と同じレースで走ることもそうだが、強い馬と一緒に稽古をすると、その馬も強くなる。たとえ、一緒に稽古をしないにしても、普段の生活を共にするだけで、きちんと歩いたり、人間の指示に従ったりという、競走馬としての振舞いを自然と学ぶことができる。つまり、同厩舎にどのような馬がいるかによって、良かれあしかれ、周りの馬たちの成長や競走実績さえも左右されてしまうのである。

日本を代表するトレーナーである藤沢和雄調教師は、「馬が馬に教える」と題して、厩舎の先輩・後輩の関係について、著書の中でこう書いている。

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