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負けに理あり、勝ちに理なし。

もはや競馬ファン以外にも名前が知れている競走馬となったキタサンブラックが、今週の天皇賞・秋に登場する。オーナーが北島三郎氏、ジョッキーは武豊騎手、そして馬は大レースを勝ちまくるのだから、有名にならないわけがない。キタサンブラックの勝ち負けには世間が注目しているということであり、今春の宝塚記念で9着に惨敗したときには、競馬を全くしらない私の友人でさえ、「キタサンブラック負けたんだって?なぜ?」と率直な質問をしてきた。いくら強い競走馬であっても勝ち続けることが極めて難しいことや、キタサンブラックの体調のバイオリズムの話をしてもおそらく分かってもらえないと判断した私は、「そうみたいだね。調子が悪かったのだと思うよ」と簡潔に答えておいた。

宝塚記念における凡走として真っ先に思い出すのは、タップダンスシチーが1.9倍の圧倒的な人気に支持されながらも9着に大敗した2005年のそれである。あのとき私はタップダンスシチーの単勝を目一杯買っており、同馬が直線で手応えなく後退していく姿を見て、どうすることもできない悔しさと怒りがこみ上げてきた。もちろん、タップダンスシチーにではなく、自分自身に対してである。なぜなら、タップダンスシチーを本命にするにあたって、ひとつだけ自分の中に隠していたことがあったからだ。

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