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競馬は無限なり、個を立てよ。

NHKマイルカップが行われる季節になると、苦い思い出が蘇ってくる。2013年のNHKマイルC当日、東京競馬場で行われたオープン型レーシングセミナーに出演させてもらった際、「NHKマイルCではニュージーランドトロフィーで負けた馬を狙うべき」と主張しながらも、最後の馬券予想の段において、ニュージーランドTを勝ったエーシントップを本命に推してしまったのだ。同じ壇上にいた競馬評論家の須田鷹雄氏に優しく突っ込まれたのを覚えている。「(エーシントップは)ゴール前で耳を立てていたように楽勝だったので」と返したが、言っていることと買っている馬券が一致していないとその場にいた誰もが感じたのではないだろうか。結果的にも、ニュージーランドTで7着に負けていたマイネルホウオウが勝利し、私は大勢の競馬ファンの目の前で大恥をかいた。

ニュージーランドTとNHKマイルCは、同じ芝1600mのレースであっても、全くもって異質なレースである。中山のマイル戦と東京のマイル戦では、芝の状態やコースの形態から道中のペース、直線の長さや坂の位置に至るまで、あらゆる全ての体感が異なる。そのため、レースを勝つために求められる適性が異なり、勝ち馬も違うことが多い。ニュージーランドTが中山競馬場で行われるようになって以来、ニュージーランドTとNHKマイルCを連勝した馬はカレンブラックヒルしかいない。ニュージーランドTが東京芝1400mで行なわれていた頃よりも、明らかに結びつきが弱くなった。

特に、ニュージーランドTがスローに流れた場合は結びつきが弱くなる。なぜかというと、NHKマイルCは総じてハイペースに流れることに加え、最後の直線が長く、字ヅラ以上にスタミナが問われるからだ。小回りの中山芝1600mでスローに流れたレースにおいて結果を出した馬が、府中のマイル戦の厳しいレースに巻き込まれたら、戸惑いを隠せないはず。むしろスローに流れたニュージーランドTでは差し脚やスタミナが生きなかった馬こそが力を発揮できる舞台となる。

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