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道悪馬場での圧勝を信じてはいけない

不良馬場を得意とする馬を、「水かきがついている」と表現していた時代があった。馬の蹄に水かきなどつきようもないのだが、水が浮いて田んぼのようになった馬場を1頭だけスイスイと走ってゴールしてしまう姿を見ると、まさに言い得て妙だと感心してしまう。水かきがついていると称された馬の代表格はレインボーアンバーであろうか。クラシック前哨戦である弥生賞にて、中山競馬場の不良馬場を2着馬に1.7秒の大差をつけて圧勝した。その水を得た魚のような走りを観て、競馬ファンがレインボーアンバーは不良馬場を滅法得意とすると考えたのは当然である。

しかし、レインボーアンバーが本当に不良馬場を得意としたかは甚だ疑問である。というのも、不良馬場が得意な馬などほとんどいないからである。雨が降って地盤が緩み、ぬかるんで滑ってしまうような馬場の方が、良馬場よりも上手に速く走れるという馬はさすがにいない。例外的には、安田記念を勝ったショウワモダンのように、雨が降ると喜んで走るという馬もいるかもしれないが、それは楽しんで走るという意味であって、速く走ることができるということでは決してない。むしろ雨が一滴でも体にかかると嫌がり、レースでも全く力を出し切れないサクラホクトオーのような馬の方が多い。つまり、不良馬場や道悪馬場が得意な馬などはいないのであり、得意そうに見える馬は他馬と比べると苦手としないということである。

不良馬場の巧拙を分けるのは、様々な要因が考えられる。

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