【読書日記】人生の短さについて 他2篇 著 セネカ

ローマ時代の政治家であり、暴君ネロの教育係でもあったセネカが知人や母親に宛てた手紙をまとめた作品。

文章は極めて平易で読みやすい。分量もそれほど多くない。

後書きに解説とセネカの人生の年表が載っており、解釈の助けになるので、本編の前に読む方が良いと思う。

ギリシャ時代の古典などを読んだときにも毎回思うが、2000年近く前であっても人の思考や感情・欲望の発露の仕方は変わっておらず、現代にも十分に通じるところがあると感じた。

セネカは、英知を求めて過去の哲人に学ぶために時間を使うことこそが有意義な人生だと言う。

英知を求めて学び、過去の偉人の議論や足跡を辿ることで、視野の狭さを克服することができ、生まれる前のあらゆる時代を自分の年月に加えることができる。

現代においても、学ぶことの意義はここにあると思う。
世界のあらゆる時代の偉人と対話できる手段であり、彼らの学びや経験を吸収して賢くなることができるということだ。

個人的には、3つめの「心の安定について」に出てくる↑の一節も心に残った。

精神は、人々と交わるとかき乱され、落ち着きを失う。だから孤独と交わりをバランスよく摂ることで、精神の安定を保つのが良い。

目的を見失いがちで、ついつい遊んでしまいがちな自分みたいな人は、自分を見つめ直す時間を定期的に取るのが良いのかも。

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