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文化がある場所に片足を突っ込んで、その場所と、文化がない場所を隔つ壁に、ツルハシで穴をあけたい。(前編)

今更ですが、週5日のペースでnoteを更新しています。文章を書くことを習慣化しようと頑張っています。なぜ習慣化しようとしているのか?というのが今回のお話です。

なぜ、習慣化しようとしているのか、その答えはツルハシで壁に穴を開ける為です。

前に、あなただけの大切な作品(コンテンツ)に関わりたい、という僕の理念についての文章を書きました。

これは僕が文章を書いたり、音楽をやったりする根本の理念について文章にしたものです。

今日はこの理念に則りながら、僕が成し遂げたい夢について書いてみようと思います。

文化がある場所に片足を突っ込んで、その場所と、文化がない場所を隔つ壁に、ツルハシで穴をあけたい。

ツルハシとは石炭を採掘するための道具です。日本初の世界記憶遺産となった山本作兵衛さんの絵の中で、ツルハシは沢山描かれています。

山本作兵衛さんは田川のヤマ(炭鉱)に入り、炭坑夫として働いていました。そして、仕事の側、ヤマ(炭鉱)に働く人達の姿を絵に残そうと、たくさんの記録画を描きました。

僕が生まれ育ち、今も住んでいる田川という地域は、産炭地でした。今も地下は穴だらけだと、誰かが言っていた気がします。昔、田川に住む多くの人達は地下に潜って、石炭を採掘する仕事をしていました。

その人たちは、いわゆる炭鉱労働者です。多くの炭鉱労働者は、仕事が終わると共同風呂で汚れを落とし、「宵越しの金は持たぬ」と街にお酒を飲みにに出かけました。

ヤマ(炭鉱)に事故はつきものです。いつ、事故が起きて地下に生き埋めにされるか、ガスによる爆発に巻き込まれるか、本当にわかりません。だから、宵越しの金は持たないのです。

田川の人は気性が荒い、そんな噂があります。方言である田川弁も、おそらく初めての人が聞くと、喧嘩をしているのでは?と勘違いするほど、荒い言葉です。

きさん、いいかげんしちょかな、ぼてくりまわされるっぞ!(あなた、あまり調子に乗らずに、用心しておこないと、誰かから激しく注意を受けるかもしれませんよ)

炭鉱(ヤマ)の中ではいつ死ぬか分からないから、張り詰めた緊張感の中で、いち早く危険を知らせるために、このような激しい方言になったのだという説があります。

宵越しの金は持たない、気性が荒い、そんなイメージには、そういった背景があるのだそうです。

革命に犠牲が伴うのはよくあること。

国のエネルギー政策によって、石炭の需要が激減すると、田川の炭鉱は次々に閉山し、多くの人が職を失ってしまいました。

ある人は職を探すために田川を出て行きました。ある人は田川に残って失業者対策で行う公共事業で職を得ました。

産業そのものがなくなってしまった地域を再生しうる事業は起こりませんでした。それから時は流れ、今。閉山以降、人口が増加したことはありません。

そんな地域に僕は生まれ育ち、今も暮らしています。

一般的に田川の良いところは自然が多いことで、悪いところは生活保護者の割合が高いことだと言われています。それは間違い無いです。おそらく、調べればすぐに出てくるでしょう。

正直に言うと、一般的に良いと言われるところも悪いと言われるところも、僕にとっては普通のことです。自然が多ければ虫が多い、仕事につけないから生活保護をもらう、至ってシンプルな現状だと認識しています。

テレビで流れる音楽が音楽の全て。テレビで流れる映画が映画の全て。テレビで流れる片岡鶴太郎の絵が芸術の全て。

言い過ぎなところもありますが、中学校を卒業するまで、僕の周りの人達にはそんな人が多く、音楽やアートや文学や映画が好きな人たちはマイノリティーでした。

そんな地域で育っていく中で、僕は音楽やアートや文学や映画が好きになりました。おそらく母の影響です。母は読書家でしたし、幼い時からダリとかの展覧会に連れて行ってくれたし、音楽はデビッドボウイとビートルズが最高だと教えてくれました。

高校に入学してから、僕と同じように音楽やアートや文学や映画が好きな仲間に出会いました。今の僕は、その中の一人と結婚して、その中の二人とバンドを一緒にやっています。少し話が逸れました。

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今、こうやって文章を書いている僕が居るのは、母親が文化がない場所と文化がある場所とを隔てる壁を壊してくれたからだと思います。

母親は、普通の人の側から、たくさんの知識と愛情をもって、その壁を壊し、表現する人達と僕を引き合わせてくれました。本当に感謝です。

長くなりましたので、続きは明日、投稿しようと思います。

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