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システム

この世界はシステム。僕は近頃そう思うたびに喜びを感じる。
絵を描いていたり、物をつくっていると、ときにシステムを逸脱するような、イレギュラーなものを生み出したくなる時があった。
そのほうがきっと見つけたい真理に近いから、と思うことがあった。
しかしいつもそいつは混沌としてあるだけで、形作ることができない。
システムを逸脱した代物は死のにおいをまとっていて(生まれる前のにおいと言ってもいい)この世に産むことは永遠にできない。

本当に『産まれた』ときは生命観に溢れた、とても有機的なものを産んだときで、有機的な証拠は、その個体にフレッシュなシステムが内包されているとき。その個体が何かの法則に沿って自動的に役割を果たし続けるとき。
自分にだけその個体の隠されたシステムが見えてしまったとき、きっとそのシステムの容器を作ったのだと思えるときに本当にうれしい。

この世界の神秘は、生命の神秘はなにかしらの隠されたシステムだ。きっとそうだと思わせてくれる。誰も知らないことや、誰かが気づいていることのひとつひとつが、大きな、小さな、繊細なシステムで構成されていて、ランダムに見えることすらも、四季のような大きな流れの中の一つのスイッチに過ぎないのだと思えると嬉しい。この世界のものがひとつもイレギュラーでないことが残念だと思うことはもうなくなって、そのようにイレギュラーを装って繊細に仕組まれたいろいろな仕組みについてただ美しいと思うようになりつつある。色やにおいや音や形や動きや味をなるべく少しでも気づいて、その意味を見つけて、ずっと動き続ける美しいシステムを作り続けるシステムでありたいという思いが強くなるシステムが動いているらしい。

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