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魚の進化は誰のためのものか?

本日は「アクアリウム × サイエンス」シリーズです。

イノカチームでは、海外の魚にまつわる研究を調査し、定期的に共有を行なっております。
なんとか、そこからアクアリウムにつなげることができないか、毎回頭をひねっています。

今回の論文はこちら。

「都市部に住んでいる魚が独自の進化を成し遂げていた」

というものです。

進化ってそもそもなに?

進化に関してはまだ解明されていないことも多く、諸説あるのですが、たとえばダーウィン進化論という考え方があります。

平たく説明をしますと、進化は自然淘汰によって起きるんだという説です。
※最近「進化論は覆るかも」とも言われているので、あくまで一説と受け止めていただければと思います。

ここで、また新しい単語ですが、
「自然淘汰」とは、ある生き物が環境の変化に耐えられずに死んでしまうことを言います。基本的に多くの種類は、大きな環境の変化には耐えることはできないのです。

しかし、まれに

「突然変異を起こした子供がその環境の変化に耐え、その子孫がのこる」
ということがあります。

大きな環境の変化などがあった時に、たまたま生き残って、今も存在しているのです。

つまり、進化しよう!と思って進化したのではなく、
たまたま突然変異して、そいつが生き延びたんですね。

都市部で進化した魚

では、今回の論文に話を戻します。

先日の記事でも紹介したように、人間の活動により魚の住む環境というものは日々影響を受けています。

多くの種類は適応できずに数を減らしてしまうか、最悪絶滅してしまうのですが、その中にたまたま突然変異により都市化適応できた魚が見つかった!!ということを言っている研究なのです。

しかもこの研究のおもしろいところは、
研究者が予想していたのと違う方向に進化した種がいたという点です。

研究者は「都市部の魚はスリムに進化するはず」と予想し、確かにスリムな個体は発見されましたが、予想に反し、より大きな体を持つように進化した個体もいたそうです。

自然環境の変化の中で自ら魚が進化を遂げていく。そしてそのパターンも一様ではない。

まだまだ、生き物がどう進化していくのかは分かっていない部分も多いんですね。

アクアリウム内で起きる進化

そして実は、アクアリウム内でも魚は進化しているんです。

一番わかりやすいのがレッドビーシュリンプですよね。
こういう赤白のエビです。

原種自体の特定はされていないのですが、もともとは地味な色だったエビがたまたま突然変異で赤くなったんです。

それを人の手によって、赤いエビだけを隔離して、赤いエビ同士を交配させて増やすことにより、いまでは日の丸模様のエビがいたり、ワインレッドのエビがいたりと、様々な進化を遂げてきています。

しかし、まだまだ研究が進んでいない領域です。ここに科学のメスが入ることで、もっともっと面白い柄が作れたりする時代が来ると考えています。

一方で、倫理的な問題もあります。

金魚も人の手によって、強制的に作られてきた進化なのです。
この作品は、様々な金魚を掛け合わせていくと、最後に原種のフナに戻る、
「逆品種改良」というようなことを行なっています。

突然変異の進化であれ、人為的な進化であれ。

人と魚の良い関係を保つラインがどこなのか、いまだに答えは見つかっていませんが、

こういった「種」との向き合い方に関しても考えていきたいと思っています。


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