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山尾議員に関する報道を見て、思い出した“実験”があるんだ。

山尾議員の一連の報道を見ていて、ふと思い出したんだけれど。
学生時代にご厚意で出入りさせて貰っていた社会言語学の飯野公一先生のゼミで、こんな実験をしたことがあった。

参加者に対して説明した表向きのプロセスは以下の通り。
1.ゼミ生をA,B2グループに分け、それぞれ別のWeb上の掲示板に誘導する。
2.それぞれの掲示板で、「履修した単位の評価は絶対評価が良いか、相対評価が良いか」について自由に議論してもらう。事前アンケートを基に、各グループには絶対評価派と相対評価派がバランス良く配分されている。発言は全て匿名で行う。
3.議論の後で、改めて絶対評価と相対評価どちらが望ましいかアンケートを実施する。

しかし、これには裏があった。

実は参加者は全員、事前アンケートで絶対評価を支持しており、相対評価が良いなんていう奴は一人もいなかったのだ。それぞれの掲示板で、相対評価派の意見は全て僕が書き込んでいた。

僕はAグループでは、投稿全体の2割の数になるよう調整しながら相対評価派の意見を投稿した。
そしてBグループでは、投稿全体の8割になるようにして同じことを行った。
投稿の内容による影響が出ないよう、BグループではAグループに投稿したのと同じ内容を、書き方を色々と変えて投稿した。(かなり大変だった。)

結果はどうなったか。

事後のアンケートを見ると、僕(つまり相対評価派)の投稿が2割と少なかったAグループでは、全員が「絶対評価が好ましい」という当初からの意見を変えなかった。
一方で、
僕が8割の投稿を投下したBグループでは、なんと8割の参加者が相対評価派に態度変容してしまったのだ。
12年以上前にやった実験だけど、今思い返してもこれは結構、示唆のある実験だった。

山尾議員のtwitterが大炎上しているが、果たして彼女を非難している人は一体、どこの誰なのだろう?
彼女の会見内容を知らせる投稿には3000件ほどコメントがついているらしいけど、見たところ同じアカウントの投稿者も目立つ。
僕自身は今回の報道内容については「どうでもいい」と思っている。ただ、色々他のシナプスが紐づくところがあって、事象としてことの成り行きをとても興味深く見ています。
どこかでまとめたい。。。

・・・
こんなことをFacebookで投稿したら、色々な人から反応をもらった。

例えば、
「印象操作に予算がつぎこまれているというのは本当なんだろうなあと、ここ5年くらいよく思います。特に最近、ところどころであからさまな自演コメントが常習化してきた感も。(大量の素人集団に外注されている気がする)」

実際、そういうサービスは広がってきてるのだろう。事実、フェイスブックは今月、昨年の米大統領選中にロシアが関与したと見られる約3000の政治広告に関する情報を議会に提供すると発表した。http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/09/post-8499.php

特に怖いのはこの部分だ。
(以下引用)
過去のフェイスブックの説明によると、ロシアが関与したと見られる政治広告は、大統領選を争っていた2人の候補、ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンには直接言及していない。LGBT(性的マイノリティー)や人種、移民、銃所持など世論を二分する政治問題で極端な立場を取り、政治的・社会的な分断を煽る内容だった。ほとんどは大統領選が実施された2016年ではなく2015年のうちに配信され、そのうちおよそ4分の1は配信先が特定の地域に限定されていた。
「広告やその他のメッセージを使って特定のユーザーに政治的影響を及ぼそうとする行為は、高度な技術を持つ組織にとって当たり前のサイバー攻撃手法になりつつある」と、フェイスブックは別の幹部の投稿で説明している。
(引用終了)

ただし、今回の山尾議員の報道とSNS上の炎上については、どこかから記者への情報リークがあったのかもしれないが、
・報道自体は文春の通常運行であること
・同種の問題では政治家も芸能人も同じくらいに叩かれていること
から、特に陰謀論的なことを持ち出す必要はないかと思う。ニュースとしては、単純に山尾さんの脇が甘かっただけ、と言えるだろう。

また、
「インターネットは、感情の増幅器みたいな側面があるなと感じます。米大統領選は典型的な事象だったなと思う。日本人は特にそうなんかなあ。」
という反応も頂いた。
日本人だから特に、と思いがちだけど、実は大して海外も変わらないのではないか、と実感したのが大統領選だった。(リベラル色の強いボストンでは、未だに反トランプのデモがしょっちゅうあるそうだ。)

暴動はだいたいそういうものかもしれないが、一部の声が拡声され、そこに人が集まって増幅していく。そして、この実験が示しているのは、ネットの拡声力は計り知れず、あたかもそれが大勢の声で、正しい声だと錯覚させるという危険性だ。
Web上の意見の集合は実際には見かけよりもずっと少ない人数で構成されているかもしれない、と冷静に割り引いてみることができるかがポイントになる。

山尾議員問題に関して考えたことは、数日中にアップしようと思います。(締め切りを宣言しないとやれないタイプ。)

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