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平安神宮ライトアップ・京セラ美術館・京都人のディスりが炸裂した夜 〜京都帰省便り

京都の平安神宮では、光でアート演出された夜間参拝『NAKEDヨルモウデ 平安神宮』が開催されている。私が出向いたのは12月16日。このイベントは年内は30日(木)まで、そして2022年1月6日(木)〜1月16日(日)に開催される。

夜間参拝の魅力がバッチリ詰め込まれたプロモーション動画(約1分)を掲載しておこう↓


●スタートアップは京セラ美術館から

ヨルモウデは17時30分開演。それまでは近くの京セラ美術館で日本画展示を楽しんだ。

京都市京セラ美術館

この日は天気が悪いせいもあり、16時過ぎでも真っ暗だ。京セラ美術館(旧京都市美術館)は、洋風建築に和風の屋根が乗る「帝冠様式」を代表する建築のひとつ。新設されたモダンな地下ガラス張りスロープとの対比が美しい。私は誘蛾灯に導かれるがごとく、地下からふらふら館内に入り込んだ。

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木島桜谷の「寒月」。唯一撮影OKな作品

コレクションルーム冬期の日本画チケット購入。閉館1時間前、展示室には私1人だ。圧倒されるような日本画をたった1人で堪能する。中でも上村松園を母にもつ上村松篁の「山鹿」に目を奪われた。
ここに作品を掲載できないのが残念だが、離れて観ても近くで観ても、松園譲りの滲みある柔らかさの繊細なこと。神秘的で静寂な地に息づく鹿の、被毛の温度さえ伝わる凜とした「生」に熱くなった。

●平安神宮ヨルモウデ、出陣

17時30分。いよいよ平安神宮ヨルモウデ開館だ。美術館を出て参道を行く。
平安神宮・應天門が、悩ましげな明かりを放っている

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こんなイベントだから凄い人混みだと心配したが、行ってみると意外にガラガラ。ちょっと寂しいくらいで華やかさもない。少ない来訪者の中、9割は若いカップルだ。神社なんか面白いの?と、むしろそっちに興味津々

●幻想的な神苑に心奪われる

ところが池泉回遊式の近代日本庭園「神苑」に行くと、圧巻の景色が広がった! 人が少ないため、お気に入りのポジションから心ゆくまで楽しめる。池に映り込む景観がぞっとするほど美しい。宇宙へ繋がる世界のような、見てはいけないような怖さがある。光が織りなす深い陰影、そして目の覚めるような色彩の対比にしばし体が縛られる。深遠な日本画の中を彷徨うようだ。美しさに酔うとはこういうことか。神秘。幻想。やがて現実に戻される遠くのざわめき──。

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池の対岸から遠くの泰平閣をのぞむ。
まばゆい光が彼岸の世界を表すようだ。
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iPhoneで撮影するのも無粋だが、やはり外部記憶としてとどめておきたい。

これは尚美館に映し出されるプロジェクションマッピング〜花結び〜
平安神宮の神苑に咲く四季折々の花が映し出される雰囲気を、20秒の短すぎる動画にしてお届けする(画質が悪くてすみません)。プロジェクションマッピングは厳かさよりも、むしろショー的。やり過ぎ感は否めないが、アトラクション気分で楽しめる。

●タンポポ綿毛の可愛いDANDELION PROJECT

 最も楽しげなアトラクションは、「DANDELION PROJECT 平安神宮」だ。

綿毛-1
タンポポの綿毛をイメージしたモニュメントに、ひとりずつ自分の名前を入力したスマホをかざす
綿毛-2
スマホをかざした途端、自分の名前が地面を駆け巡る

このアトラクションは、ひとりずつ体験するためちょっと時間がかかってしまう。自分の番が来たら、上の写真のように指定場所にスマホをかざす。かざしているのは、私の前に並んでいた少年。

下の写真は私が自分のiPhoneをかざした後のもの。地面に自分の名前が映し出され、文字がふわふわタンポポの綿毛のように飛んでいく。このアトラクションだけは長蛇の列だった。まあ10分並べば私の番は回ってきたけど。

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刈り込まれて枝ぶりが見事な松もライトアップ

庭内は、松の枝1本までがいちいち美しい。こういう場所に人は立ち止まっていなかった。若いカップルが多いせいか・・・。

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19時前後には人の姿が増えていた。應天門がピンクに輝く

●ネイティブ京都人の妹、ライトアップを下品とのたまう

私が帰る頃、少し人が増えていた。それでもこの程度というのはラッキーだ。帰宅後、京都在住の妹に写真を見せて感動を伝えたが、けんもほろろにかわされた。妹がネイティブ京都人を代表しているとは思わないが、まあとにかくここに姉妹の会話を記しておく。

〜ヨルモウデの記念すべき写真を見る妹と私〜

妹「うっわ應天門、安もんのラブホみたい〜。趣味わる〜」
私「ピンクとか紫はね。でも実際に見たら感動するよ。人も少なくて良かった」
妹「平安神宮の事務局、泣いてるで。こんなハデにイベントしてお金かけても集客できひんってなあ。ラブホみたいにしてバチあたったんやな」
私「え〜、地元ではそんな噂立ってんの??」
妹「多分な。知らんけど。京都に住んでてわざわざ拝観料払って見に行かへんやろろ、普通」

ひどい。こんな調子で妹には全くウケなかった。事務局が泣いているというのも嘘っぱちだが、本人はそう思い込んでいる。
だが明後日には、私の行った二条城や天竜寺の写真を見て妹の気持ちが氷解する。私もそうだったが、京都に住んでいると神社仏閣の魅力にはそうそう気づかないものだ。もっと若い頃に気づいていればと悔やまれる。本当に勿体ない。

次回「ぶらり立ち寄り二条城と市バスハプニング」に続く。