見出し画像

事務部門の重要性

医療機関における事務部門

病院やクリニックで働いていると、医者は基本的には診療関連業務だけをやっていれば良いことが多いです(管理職は別として)。
しかし、患者さんが診察室に入る前までと、出た後には大量のフローがあります。

予約の取得や変更の電話対応、診察室の準備、受付、案内、紙媒体の検査結果の用意、会計、書類の受け渡し(書類記載の催促も!)、医師不在時の状況把握と情報伝達、掃除、片付け、施錠まで。。。
最近はいろいろデジタル化、機械化している部分も多いですが、まだまだ人力でいろいろと回しているのが現状です。
クレームなどは医者に直接来ることもありますが、ほとんどはその前に受付や外来看護師さんのところを通って来ています。そこで手に負えないものだけが医者のところにたどりついているのだと思います。

事務がいないと成立しない

ですので、実はクリニックにいなくて一番困るのはエラい先生でも院長でもバイト医でもなく、事務部門の方たちです。
たしかに、医者がいないと診療が回らないし、有名な先生や人気のある先生がいないと患者さんは来ないかもしれません。
でも、事務部門がないと、患者さんが来ても診療ができません。
受付ってどうやるの、会計どうしたらいいの、コストどれとっていいの・・・全然分りません。
医者は診療時間の5分前に来て、診療が終わればすぐ帰っても困りませんが、事務部門は開店前と閉店後にも仕事がたんまりとあります。

医者はこのことをもっと認識すべきじゃないかなと思います。
事務部門やコメディカルにエラそうな態度をとるエラくもない医者をたまに見ますが、僕はそのたびに「自分の仕事がどうやって成立してるか考えてみ」と思います。

事務を大事にして!エピソード

個人的に、事務部門について思うところのあった二つのエピソードがあります。

昔バイトをしていたクリニックに、毎日勤務している受付のおばちゃんがいました。
僕は土曜日たまに勤務していたのですが、ある日、そのおばちゃんがどうしても用事で出勤できないことがありました。
もちろん他の事務の人もいますし、その日は院長も出勤するということで、「まあ普段とは違うけど、どうにかなるよね」的な雰囲気でスタートしました。
しかし実際に動かしてみると「あれ、これはこうでいいんだっけ」「これってどうすればいいんだっけ」と、問題が多発。受付は簡単なのでとりあえず診察室に入ってもらって診療はするのですが、会計と次回予約が大混乱。
結局そのおばちゃんに電話して聞くことになりました。

おばちゃん一人がいないと回らない組織自体に問題はあるのですが、とは言えクリニック業務のフローを一番理解していたのはそのおばちゃんだったというエピソードです。

もう一つは、前職の病院での話です。
外来枠の調整や診察室の工面で事務部門に行った時に、話の流れで働き方改革と超過勤務手当の話になりました。今は知りませんが、当時は事務部門には超過勤務手当は出ていなかったそうです。僕は夜でも灯りのついた事務部門のデスクに仕事の相談に行きましたし、特にレセプトの時期は皆さんが休日も仕事をしているのを知っています。
なので「それっておかしくないですか」という話をしたところ、「僕もそう思うんですけどね、昔上の方から『お前たちは事務で何も1円も売り上げてないんだから、当然だ』というようなことを言われました」と返事が返ってきました。
もうね。唖然ですよ。

たしかに企業だと営業、病院だと医者が主に利益を生み出す部門です。
でも、それを成立させるために裏でどれだけの人間が動いてるか分かってるのかと。
ほな総務も経理も医事も全部切るんかと。
国でもトップクラスの病院がそういう考え方でええんかと。
(いま書いててまた腹立ってきた(笑))

実際、前病院は医者はともかく、看護師は離職率が高く、事務は意気が上がりませんでした(たまにデキる人がいると非常勤だったりします)。

事務部門は、医療機関のギアでありオイルです。
もっと重要性の理解が広まればいいのにと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?