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最近のほっこりした話シリーズ

診療をしていると、いろんな親子のほっこりした話に出会います。
今日はそんなエピソードを、個人が特定できない程度に改変してお送りいたします。

子どもをおちょくる母

知的障害の中学1年生男子。
まだ幼いところがあるが、中学に入ってぐっと大人っぽくなった。
児は小学校いっぱいまで通常学級で暮らし、中学から支援学級へ。自分がかまわれる立場だったのが、コミュニケーションが難しい子の多い環境へ。
急な環境変化に戸惑いつつも、優しい先輩との出会いで少しずつクラスに馴染んできている。

母は幼少期から受容的に向き合いつつも、期待と不安が入り混じった葛藤を抱えてきた。それでも生活をしっかり見ていくうちに、我が子にどこまで期待して良いのかがなんとなく分かってきた。頑張ってできること、頑張ってもできないことを見極めつつ、やればできることをサボる我が子には「やってないもんね(ニヤニヤ)」とチクリ。

自分が「できない」ではなく「やっていない」ことを看破された児は怒って母に軽く体当たりするが、母子ともにニヤニヤ。

ちゃんと着地してるなぁ、とほっこり。

子どもの趣味にハマっちゃう母

自閉傾向のある小学校低学年の男子。
属性的にあるあるな「虫が好き」という趣味。

母は真面目な人で、ムシムシ言っている息子にちょっと引き気味。
でもある日、思い切って虫を触ってみた。あれ、意外と嫌じゃない。
今では息子と虫トークはもちろん、「一人で歩いてても『虫いないかな』って探してます」という状態。

先日は予約時間を間違えて、空き枠のあった90分後にリスケ。
クリニックに戻ってきた母の右手には、膨らんだコンビニ袋。
「カマキリ拾ってきたんです。家で飼うんだよね。帰りに100均で虫かご買おうね」

子どもの興味にハマれたお母さんの素朴な感性にほっこり。


状態が落ち着いても切なくなってしまう母

自閉+知的障害の高校生男子の母。
家庭内窃盗や脱走、心因性失神発作など、多彩な症状があった問題児だが、最近は少しずつ落ち着いてきている。

てんかんがあり、他院でもフォローされている。
最近症状の悪化に伴い、抗てんかん薬を増量されたと。
なるほど、確かにおとなしい。。。というか少しぼーっとしている。
薬の増量後、てんかんの発作は減った。もちろん問題行動も出ていない。
「なんか、発作もないし、生活もちゃんとしてて助かるんですけど・・・。なんかもうちょっと元気があってもいいかな、って思っちゃうんですよね」

お母さん、めっちゃ分かります。
いや、発作がないことが一番なんですけどね。
でも、なんかね。
早くてんかん落ち着かないかなぁ。

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