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その中に、ブルーダイヤモンドの活用する方法がいくつも想定して研究を進め、結局、放射性食料と放射性兵器に絞られたようだった。開発は約5年を有している。それでこれだけの兵器と仕掛けを作り上げたのは早いほうだと大泉

変に感心していた。どう考えてもかなりの人数とそしきが協力していたに違いない。大泉の会社も結局、金の亡者にあやちられていたのだった。





 大泉が上海で格闘している間に、日本では、放射性放射特性を持つ食料が出荷された結果が出始めていた。

東北の工場から出荷された食料は、関東地区から東北地区にまだをカバーしていた。特に、関東の東京都内には優先して配送されるようにスケジューリングされていたので、一番早く食料汚染が進み、体に異常を示す人が1日で急増していた。

 救急搬送されてくる患者の様態は皆同じで、体の全体がだるく、そして、時間が経つと血液を嘔吐しはじめ、そして、昏睡状態に陥るのだが、それがほんの1時間程度で進んでいくため、過去の症例は役に立たなかった。


 東京都立先端技術医療センターでは、救急医療での懸命な治療と、先端科学技術による原因の解明に取り組んでいた。医師たちは微生物や毒物のようなバイオ系大量破壊兵器が使用されたのではないかと想定し、分析するもなかなか良い結果は得られていなかった。

 その頃、一人の看護師がロビーに送り込まれてくる患者で意識がはっきりしている人に対し、丁寧に聞き取りを行っていた。はたからは、この忙しいのにと思われながら、僻地での医療経験が豊富で、今回のような原因不明の症状で、かつ、明らかにパンデミックに近いことについては、まず、状況把握が必要なことを見にしみて分かっていた。

 

 初めの急患が運び込まれたのが朝の9:30頃。そのあと、患者数が指数関数的に増加し、共通しているのが搬送されてから、1・5時間程度あとに、原因不明の出血により休止する患者が大体8割だった。残りの2割は回復したり、昏睡状態のままだったりした。死亡した患者の体液、細胞など、あらゆるものを活用して原因解明に取り掛かった。当初は、出血がひどいのでエボラ熱かと思い、急遽病院閉鎖して、分析したが、どの致死性ウイルスも検出されず、また、空気中にも何もないので、閉鎖は解除されている。どの患者も、細胞、DNAが破壊されている。運び込まれた時と、1時間経過後のサンプルを比較して分かったのは、急激に細胞破壊が進んでいることだけだった。


 ロビーで聞き取りを行っていた看護師がある点に気がつき、さらに調査すると、患者全員に共通点が幾つか見つかった。それは朝食に、今はやりのエナジーミルクとエナジーシリアルやエナジー粉末を使っているだった。食料だとすると食中毒と毒物混入だが、胃の中のものを分析しても、毒やバイキン、ウイルスは検出されなかった。そこで、看護師は、エナジーミルクとシリアルを近くのコンビニで購入し、分析方法をラボと相談始めた。

 そこに、高機能分析加速器技師の友達がふとラボに現れた時、技師の命を守る放射線カウンターがじゃっかん触れたのを看護師は見逃さなかった。シリアルにミルクをかけたものに反応していた。シリアルそのもの、ミルク単体では何も反応しない。混ざることで放射線放出が始まっているがはっきり分かった。



 ニュースでは、このパンデミックが関東、東北地方で拡大し、死者が5000人を超え、急増していることを伝えていた。看護師と技師は、院長に報告し、対策を練るようにお願いした。

 すべての医師、看護師に放射線カウンターが支給され、二次被害を避ける努力も始まっていた。さらに、委員長から内閣にこのことが連絡され、関東地区の研究機間総出で対応が進められ始めた。原因解明と対策。そして、食料の緊急回収が手配された。



 あまりに患者の多さと急激な拡大に対応できなくなっていることから日本政府は非常事態を宣言。自衛隊が出動し、関東と東北一帯を封鎖し、外出禁止令を出した。





 今回のパンデミックの原因が、大泉の会社の新しい食品、エナジーシリーズであることが突き止められ、会社の研究所、工場、オフィースがことごとく公安の捜査されることになり工場は操業停止になった。完全に犯罪者扱いされる同僚たちを救うために大泉は、いちれんの出来事のレポートをサムとCIAに許可を取り、首相と内閣官房長官にメイルしていた。


 そして、公安による調査から社長室の隠された隠し金庫からパソコンが見つかり、その解析は進んでいた。また、国家安全保障会議では、大泉とCIAからのレポートが届き、大アジア国の陰謀とドクター・チャンの存在を知り、その対策のため米国と連携してアジア地域に自衛隊の特殊部隊を派遣することがすぐに閣議決定され、実行された。


 パンデミックは、原因が解明され、緊急放送により国民に知らせられたため、安心感が漂い、治まりつつあった。医療体制も整ったものの、まだ、治療方法がわからなかった。一旦、エナジーシリーズの食品をミルクなどと一緒に接種すると、内部被爆が進み、数時間で死に至っていた。

 




 シンガポールの基地では、サムと大泉が、CIAと協力して、治療方のヒントがないかドクター・チェンのコンピュータネットワーク全体を調べていた。かなりのデータを解析しているが、いぜんとしてヒントすら見つからないでいた。

 大泉はチューさんが何か言っていたことを思い出しながら、検索キーワードを思いついては、ネットワーク全体を調べ続けていた。何十個とトライした後、ふと思いだして『Xは不連続』と言っていたのを思い出した大泉は、X→最終、顛末、末期、 そして、 不連続→ディスクリート、ステップ、イノベーションなどの組み合わせをトライし始めた。


 そうすると、1分後に『最終+イノベーション』でヒットがいくつも出てきた。


 データは膨大だが治療につながるとなると放射線、疾患、遺伝子、疾患などのキーワードをかけて検索すると、幾つかのフォルダが抽出された。その中に、サムが見つけたのが、DNA損傷防止のキーワードだった。

その中には、今回のブルーダイヤモンドから発せられる光がどのようなメカニズムで、対象物を放射性物質に変わるかが書かれていた。食物の中のタンパク質の内部に放射性を有する成分が生成され、水分が供給された時点で、水と反応し、放射性を内包して外に漏れないようにしていた隔壁が崩壊し、放射能を浴びたのと同じ状態が食物及びそれを食べた人間の体内に発生するのだった。

 だから、水ぶんをとったじてんでアウトなのだ。それは一旦発症すると救いようがないのであった。

 大泉はその事実を受け止め、必ず、ブルーインパクトとブルーダイヤモンドの兵器を破壊すること。ドクター・チャンのグループを壊滅することに集中することにした。





 X=ドクター・チャンであることを知った大泉とサムは、シンガポールの生産技術研究センターのチャンのネットワークとコンピュータにハッキングし、多くの情報を得ることができていた。しかし、ドクター・チャンをどうやって捕まえ、そして大アジア国を狙う、シンジケートの上層部が誰で、どうやって捕まえ、組織を壊滅するか、対策は全くできていなかった。

 ネットワークを監視している限りでは、今のところドクター・チャンは南沙の人工島にいるのは間違いない。沖縄の基地から、米国及び日本の混成特殊部隊がCIAの指示で、C2貨物機で飛び立ったことが知らされたので、サムと大泉は、その部隊をまず南沙の人工島に向かうように提案し、舞台を送りこめることになった。目的は、ドクター・チャンを生きたまま確保すること。そして、南沙の基地で、ドクター・チャンが何を計画し、実行しようとしていたのかを知ることだった。





 UAV、無人探査機により南沙上空から基地の様子を高感度カメラでとらえた大泉は、滑走路、ヘリポートと幾つかのコンクリート造りの建物を見ることができた。特殊部隊の到着が後30分後の時に、一つのコンクリートの建物から3人の人影が出てきて、滑走路に向かうのが見えた。そして、HondaJetが着陸して、建物の近くに停止する。小型ジェットからは、男1名、女1名が降りてきて、握手して、コンクリートの建物に入っていった。

 そして、建物から出てきた二人の男が、小型ジェットに乗り込み、大きなキャリングケースを4つ下ろして、建物に戻っていった。大泉はそのキャリングケースを見た記憶があることを思い出し、ブルーダイヤモンドが運び込まれたのだと確信していた。ただ、生産技術研究センターの地下研究室で見た小型チャンバーのことも思い出し、きっとブルーダイヤモンド、小型チャンバcー、おそらく放射生爆弾、が南沙の基地に運び込まれたのだと考えた。その時、ドクター・チャンのネットワークを検索していた人工知能検索ソフトから、同じ答えが見つかったことを知らせてきた。


 すぐさま特殊部隊にその点を通報し、ドクター・チャンの確保(生きたままで)とブルーダイヤモンド及び放射性爆弾の確保もしくは破壊が必要な事を申しいれた。特殊部隊到着まであと15分。高高度を飛行するUAVからでもはっきりと、南沙の人工島基地で、何かが動き出している事が手に取るようにわかった。大型ドローンが3機コンクリート造りの建物から運び出されてきた。数人の作業者がその周りで何か作業している。そして、ドローンの次は小型ミサイルの発射装置とミサイルそのものが運びだされてきた。と、その時、南沙のその発射台から、小型ミサイルが発射されたのがわかる痕跡をUAVは見ていた。UAVのカメラには、ミサイルは、UAVに向けて真っ直ぐ進んでいることがはっきりとわかった。



 1分後、ミサイルはUAVの息の根を止めた。





 シンガポール生産技術研究センターのスーパーコンピュータとそのネットワーク網は大泉にとっても驚愕の性能と規模を示していた。大泉も神戸の研究開発センターにて大規模なコンピュータ計算システムを作って色々な解析に活用してきたし、国のスーパーコンピュータ「京」の活用も推進してきたので一応、スーパーコンピュータについての知識は有していた。しかし、このドクター・チャンが築いたネットワークとコンピュータシステムは想像をはるかに超えるもので、米国にも引けを取らないかもしれないと感じる大泉だった。


「な、サム。このスーパーコンピュータだけど、とんでもなく大規模なクラスターを形成しているよ。とにかく計算能力は世界一かもしれない。あとはソフトがどうかだけど。」と大泉はまいったと言わんばかりにサムに声をかけながら、ディスプレイにサジを投げた。

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