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怪盗

時計台の短針に
猫の姿をした怪盗が乗っている
鐘が鳴った途端に
それは人の顔で私を見
猫の手を唇に当てた
それから狼の声で一つ吠えて
カラスの羽を広げて去っていった
怪盗はおぞましい化け物に成り果てたかに思われたが
不思議や不思議
その姿はただの
空に沈む太陽だった
つまるところ
怪盗は一介の人であり
とうの昔に絶命していたのである

(怪盗なんてものはいつの世も大衆の幻覚なのだ)

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