人の手

基本は薬剤師として働いてるので、薬の受け渡しはほとんどの場合手渡し。
なので仕事柄いろんな人の手を見る。

中学出てからずっと農業をしてて鎌で指を切り落としてる人。
某大学の教授の奥様で90超えても爪の先まで綺麗にしてる人。
先日まで高校生だったのに、今年から大学生になっでピアスバチバチにつけて指先を綺麗にジェルネイルで飾り始めた女の子。
夏場は服がパンパンに張り裂けそうな岩みたいな手の筋トレマン。
抗がん剤の副作用で爪がすごい層状になってボロボロに崩れ落ちてる人。
手には人生が詰まってる。

職工さんや大工さん、工場勤務の人の手も凄い。
短く切ってるはずの爪の先まで黒い油が詰まってる人。
手の皮がめちゃくちゃ分厚くなって
普通の人の2倍くらい手が分厚くなってる人。
指紋が完全に消えて全部の指先がツルッツルになってる人。
自分が基本デスクワークなので、そういう使い込まれた手を見ると本当に立派に働かれてるなぁと尊敬する。

綺麗に飾られた手は確かに見てて「お綺麗ですね」とは思う。
タレントさんなどは魅せるのが商売だしね。
でも使い込まれてボロボロになって、何十年も家事をしてきて曲がった指を見ると、本当に働き者で立派な手だと思う。
80過ぎて指が曲がって指先もボロボロになって「手もこんなに汚くなってしまって」と言うご老人は割と居る。
特に女性。
確かに見た目はそうかもしれないが、それは長い間働き続けた証だ。
生活を支え、人を支え、それが結果的に社会を支える。
それを延々と繰り返してきた歴戦の手の持ち主は人生の大先輩で、今の社会を見えないところでずーっと支えてきた人達なのだ。
そういう手を持つ人達への感謝と尊敬の念を忘れてはいけない。

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