皇居周辺の「銅像」をめぐる

皇居(東京都千代田区)周辺にはいくつもの銅像が建つ。
国難に際し、力を尽くした人たちを顕彰するためのもので、
歴史上の有名人が多い。今回は代表的な7体を紹介する。
さて、あなたは何体を知っていましたか?

1.楠木正成(くすのきまさしげ)像 皇居前広場(皇居外苑)
南北朝時代の武将。河内(現在の大阪府東部)の土豪で、南朝を代表する忠臣として知られます。後醍醐天皇に従い、鎌倉幕府打倒に活躍しますが、その後、後醍醐天皇の南朝に敵対する足利尊氏の大軍を兵庫湊川で迎え撃ち、壮烈な戦死を遂げました。その生き方は、幕末の志士にも大きな影響を与えたといわれます。

皇居二重橋を正面に見据えるこの像は、楠木正成が正慶2年(1333)、隠岐の島から還幸途次の後醍醐天皇を兵庫の道筋でお迎えした折の勇姿をかたどったもの。

住友家が明治23年(1891)、東京美術学校(現・東京芸大)に製作を依頼し、別子鉱山の銅を用いて、高村光雲、山田鬼斎、岡崎雪聲などにより10年の歳月を費やして完成しました。

2.和気清麻呂(わけのきよまろ)像 気象庁前(大手町1丁目)
奈良時代末期から平安時代初期の貴族。神護景雲3年(769)、皇位をねらう僧・道鏡の野心を宇佐八幡宮の神託によって退けますが、大隅国に流されました。

道鏡の失脚後、召還され、桓武天皇の信任のもと平安遷都に尽力、新都造営に活躍します。

この像は皇紀2600年(昭和15年、西暦1940年)を記念して、楠木正成像とともに文武の二忠臣を象徴するものとして建てられました。建設委員長は陸軍大将の林銑十郎です。

3.北白川宮能久(きたしらかわのみやよしひさ)親王像 北の丸公園(皇居外苑)
幕末から明治時代の皇族。伏見宮邦家親王の第9王子。慶応3年(1867)、上野寛永寺に入り、輪王寺宮公現法親王(りんのうじのみやこうげんほっしんのう)と称しました。

戊辰(ぼしん)戦争では上野に籠った彰義隊に擁立され、その後、東北に向かい、奥羽越列藩同盟の盟主となります。

維新後はドイツ留学を経て、戸山陸軍士官学校に学びます。明治28年(1895)、日清戦争によって日本に割譲された台湾の征討指揮にあたりますが、同地で病死しました。

この銅像は陸軍砲兵工廠で鋳造され、明治36年(1903)に建立。かつては近衛歩兵第一・第二連隊正門前にありましたが、現在は東京国立近代美術館工芸館(旧近衛師団司令部)の右側に建ちます。

4.大山巌(おおやまいわお)像 九段坂公園(九段南2-2-18)
幕末の薩摩藩士、明治時代の軍人。西郷隆盛の従弟にあたります。戊辰戦争では薩摩軍砲隊長として活躍し、維新後、フランスに留学して日本陸軍の建設に尽力しました。

明治37年(1904)に勃発した日露戦争では、満洲軍総司令官として日本の勝利に大きく貢献。以後、元老として重きをなしました。

この像は現在、九段坂公園内にありますが、かつては現在の国会前庭北地区洋式庭園(尾崎記念公園)にあったといわれています。原型作者は北白川宮能久親王像と同じ、新海竹太郎でした。

5.品川弥二郎(しながわやじろう)像 九段坂公園(九段南2-2-18)
幕末の長州藩士、明治時代の政治家。吉田松陰の松下村塾に学び、尊王攘夷運動に参加しました。戊辰戦争の際、新政府軍が歌った「トコトンヤレ節」の作詞者といわれます。

維新後、ヨーロッパに渡って普仏戦争を視察。明治25年(1892)、第1次松方正義内閣の内相時、大規模な政治干渉を行いました。

この銅像は海軍元帥・西郷従道らによって、明治40年(1907)に建てられ、現在、大山巌像と並んでいます。

6.大村益次郎(おおむらますじろう)像 靖國神社(千代田区九段北3-1-1)
幕末維新期の兵学者。長州藩士で、長州藩の軍政改革を指導、第2次長州征伐や戊辰戦争で卓越した作戦指揮を行いました。

明治2年(1869)、兵部大輔となり、近代軍制の樹立に尽力しますが、不平士族に襲われて重傷を負い、死亡しました。事実上の日本陸軍の祖というべき人物です。

この像は明治26年(1893)の建立で、国内初の西洋式銅像。陣羽織に左手には双眼鏡を持つ姿は、上野の彰義隊討伐時をかたどったといわれますが、巨大な眉毛が印象的です。

7.吉田茂(よしだしげる)像 北の丸公園
内閣総理大臣(第45、48~51代)。昭和26年(1951)、サンフランシスコ講和会議に首席全権委員として出席し、講和条約・日米安全保障条約を調印しました。日本の早期独立、経済復興への道筋をつけたといえます。

この像は、昭和56年(1981)建立と、比較的新しいものです。

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Saburo(辻 明人)

日本の歴史が好きで、歴史雑誌の編集もしていました。好きな時代は戦国、江戸、幕末、近代等々。歴史好きが日々の中で感じたこと、またかつて取材で体験したことなどを紹介しつつ、歴史の魅力をお伝えしたく思います。歴史を知るとは、人間そのものを知ること。一緒に先人たちの知恵を探りましょう。
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