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テレビ、店頭価格のカギ握る海外勢

BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」。本日朝の「値段の方程式」のコーナーでテレビを取り上げました。10月からの消費増税前に駆け込み需要で店頭の販売が増えました。最新事情をビックカメラ池袋本店で取材しました。売り場の担当者に話を聞くと「前年に対して液晶テレビは2倍、有機ELテレビは4倍ほど売れています」とのこと。やはり増税前の駆け込み需要はあったようです。
週ごとのテレビの販売台数を前年と比較したグラフです。

thumbnail_HD_テレビ販売台数 前年同週比_B (1)

増税前に打ち上げが伸びているのがよく分かります。

8月の販売は8年ぶり高水準

8月の薄型テレビの出荷台数は42万8000台で 前年同月比で38%上昇しました。 8月としては8年ぶりとなる高い水準です。
値段はどうなったのでしょうか。やはり値上がりしています。

thumbnail_HD_AQUOS平均単価 (1)

今年6月から値を戻しています。売れるだけに店頭での値引き幅も縮小していったと推察されます。
値段の上昇の背景には3つの理由があります。

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増税前の駆け込み需要は説明したとおりです。 
4Kテレビへのシフト 。2018年12月に4K実用放送がBS放送で始まり 4K放送を取り巻く環境が活性化しました。 4Kテレビは2019年1月から6月までで130万台売れた。 前年同期比で30%増です。
ちょうどテレビの買い替え時期も重なりました。一般的にテレビの買い替え時期は7~10年といわれています。では、7~10年前に何があったでしょうか。それが、「家電エコポイント」が付与された2010年秋の 「駆け込みフィーバー」です。エコポイントが付いたため、テレビがかなり売れました。この時期に買ったテレビが今、買い替え時期を迎えているのです。当時、私も取材したのですが、テレビの販売台数は前年同月比で5倍以上になり、平均単価も上昇しました。

1インチ1000円時代に

じつはエコポイント終了時、その後2014年の消費増税時の値段の推移をみると、どちらも駆け込み需要の反動で、需要が減少しています。それに伴って値段も下がっています。
ここでキャスターの豊嶋広さんから話が出ました。「テレビの値段は20年前は1インチ1万円と言われていましたが、最近は1インチ1000円、それも4Kのような高画質タイプでもそんな値段です」
確かに無視できない流れとして海外メーカー、特に中国勢の躍進があります。日本のテレビ市場はパナソニックやソニー、シャープなど日本の大手で市場のほとんどを占めていました。ところが昨年あたりからこの状況が変わってきています。中国のハイセンスが低価格品でシェアを伸ばし、 トップグループに次ぐ存在になっている。この夏にはテレビで世界2位の中国の 「TCL」が日本に本格参入しました。 やはり価格が武器で最も安い43型のモデルは4K液晶を搭載しながら 5万円前後です。日本製に比べると半分です。安くても性能は日本の大手との差がなくなってきており、 今後はテレビの値段も海外メーカーの安い製品に引っ張られる傾向が強まるとみています。

五輪需要はあるものの…

キャスターの八木ひとみさんが「オリンピック・パラリンピックに向けた需要で値上がりするということはないんですか」という質問がありました。
確かにオリンピック、パラリンピックを高画質で見たいという需要はあります。 テレビの買い替え時期に関するアンケートでは、消費増税前の次に 買い替えの時期の目安として挙げられているのが、オリンピック前です。 この前にも買い替える人が増加することが予想されます。 ただそんなに値上がりするとは思えません。

テレビやオーディオ製品など黒物家電は春先、ゴールデンウイーク前が新商品の発表時期です。来年の東京五輪に向けて新商品が発表されるのもこの時期でしょう。旧型は在庫処分のためこの時点で大きく値下がりします。これからの時期であまりオリンピックに近づかない時期が、 値下がりし最も消費者にとっては手ごろな値段になるかもしれませんね。

今回の値段の方程式はこうなります。

 テレビの値段=今後は海外メーカー品の売れ行きで決まる



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