見出し画像

大型連休明け、例年より退職者が増えるかもしれない

BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラス」。今朝の特集「値段の方程」では転職エージェントの報酬について解説しました。「まだ今年度が始まったばかり。大型連休も近いのに…」。そう思う方もいらっしゃると思います。でも実は、この大型連休は転職のきっかけになってしまう時期なんです。多くの人にとって楽しい連休も企業にとっては貴重な人材が辞めてしまう、危険な期間でもあるんです。転職支援サービスをしている企業からも「連休明けに相談が増える」との声が多いです。さらに今年は史上最長の10連休ですから、例年より増えるかもしれません。

そもそも、最近は最近、ある企業に入社しても、すぐに次の企業へ転職することを考えている人が多いようです。

せっかく就職したのに、もったいない気もしますね。背景には様々な要因があります。

画像1

全般的に人手不足の世の中ですから、一度会社を辞めても他の会社が見つかりやすい状況であることが1つ。次に以前だと会社を辞めることに対してネガティブなイメージが強かったのですが、今はそれが薄れてきています。会社を辞めることにあまり抵抗がない人も増えています。
こういった状況の中で、大型連休中に一息ついて自分の状況を考えなおす人もいます。また今春の新卒入社者の場合、大学時代の友達と久しぶりに会っていろんな話を聞きます。「私の職場とは違うな。もっといいところがあるのかな」と思う人も多いようです。ゴールデンウィークは人が辞めやすいタイミングになります。5月病という言葉もありますね。

こうした中で、辞めた人の補充をするとともに、いかに「すぐ辞めてしまう」リスクを無くすかが企業の課題になっています。利用が増えているのが「転職エージェント」のサービスです。転職支援を丁寧にしてくれるサービスくらいのイメージが多いと思いますが、転職した人が辞めない、ことにも力を入れています。むしろ、それが転職エージェントの「ウリ」の一つです。

番組では主に「第2新卒」をターゲットにした「ウズウズ」という企業を取り上げました。こちらでは、登録後、企業とのいわゆる「ミスマッチ」を防ぐために平均20時間という長い時間をかけて、希望する職種などのカウンセリングをしています。実際に、業務が始まった後、仕事がスムーズにできるように業界に応じたスキルが習得できる専門学校のような研修も行っています。

画像2

こういったサービスは全部無料なので、納得するまで転職活動を続けることができます。
ここでキャスターの八木ひとみさんから「無料なら、どうやって利益をあげるんですか」と質問が来ました。実はこの業界全般で決まっていることで、これが今日の値段の方程式になります。

転職エージェントの費用=採用した人の年収×0.3~0.4

つまり採用した人の想定年収を計算したうえで、その30~40%を採用企業が転職エージェントに支払うという仕組みです。
人を雇うのは結構、お金がかかります。さらに入社後の研修費用もかかります。入ってすぐ辞められたら企業はたまったもんじゃないですね。そこで転職エージェントは紹介して就職した人がすぐ辞めてしまった場合に返金する仕組みももうけています。契約によって違いますが、1カ月なら80%、3カ月なら50%、6カ月なら30%返金する。早く辞めるほど、返金額が増える形です。

では「辞める人」は転職エージェントの利用で減るんでしょうか。ウズウズの場合は、紹介した人材が1年後も辞めていない割合は94.7%。実績は上がっています。ただ、転職市場全体でみると潜在的な希望者は多く、「辞める」人は増える可能性があります。ウズウズの担当者に話を聞いたところ、登録してくる転職希望者の中には新卒採用で4月に就職したのに「もう辞めたい」という人も多く、中には入社1日目で辞める人もいるそうです。

企業にとってはせっかく採用した人を辞めさせたくないわけで、トラブルも増えています。人を辞めさせたくないあまり、執拗な引き留めをするケースや、辞めることが決まった人に対して嫌がらせをして見せしめにするケースもあるようです。そこで、最近では退職がスムーズに進むように「退職を代行する」サービスも出てきています。

トラブルが起こりそうな、退職に際しての上司とのやり取りや必要な事務処理などを本人に代わって行います。サービスを行うある企業では料金は正社員で5万円。「退職まで1度も出社せず上司や同僚に会わずに退職できる」という点が人気で、月に300件ほどの依頼があるそうです。
最後に豊嶋広さんが「コミュニケーションが不足しているんですね」とコメントしてくれました。ご指摘のとおりで、退職する際に一度も上司や同僚に会わない退職って相当、コミュニケーションが足りない気がします。そうした意思疎通の低さが早期退職を招いたのは容易に推測できます。職場のコミュニケーション活性化が大型連休明けの退職者を少しでも防ぐ方法かもしれませんね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?