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「インスタ映え」で上がる花火の値段

BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラス」。今朝の「値段の方程式」のコーナーでは花火を取り上げました。東京は涼しい夏が続いてきましたが、ようやく気温も上昇してきました。今週末には隅田川花火大会も開かれ、花火シーズンが本格的に幕を開けます。

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 花火は家庭用と花火大会用の打ち上げ花火に分かれます。 まず家庭用をみてみましょう。 日本の家庭用は9割が中国産となっています。 中国産の値段はここ数年、毎年5%のペースで上がっています。値上がりの理由はなんでしょうか。取材で東京の浅草橋にある長谷川商店というお店を訪ねました。

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実はわたしは4年前にも取材したことがありました。当時は中国の人件費アップが花火値上がりの理由でした。今回の取材でお店の方は人件費に加えて「中国で花火製造がライセンス制となったのが理由」と話してくれました。これまで中国ではどこでも作れていた花火ですが、爆発事故があったり、児童労働の問題でライセンスを持つ工場じゃないと作れなくなりました。ライセンス取得の際には製造設備や生産工程が厳しくチェックされます。この費用がかかり、花火の単価に跳ね返っています。花火に使う火薬の材料となる硫黄が肥料用として新興国の需要が高まっているのも要因です。

セット商品が主流に

花火を販売するお店も変わってきました。昔はまちのおもちゃ屋さんに置いてありましたが、おもちゃ屋さんも減少。今ではコンビニやホームセンター、大型量販店が主流の販路です。複数の種類の花火をまとめたセット花火が多く、売れ筋価格帯は2000~3000円。 花火単体の値段はじりじり上がっていますが、セット商品の値段自体はここ数年変わっていません。本数や組み合わせといった中身を調整しているからです。
市場は減少傾向です。番組で要因を3つ挙げました。

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少子化で子供自体が減っています。加えて30代から下の年代は家で遊ぶゲーム世代が多い。幼少期に花火で遊んだ経験が少ない。さらに都会では花火をやる場所が少なくなってきています。

主力である輸入花火も減っています。

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「子供に花火で遊ばせてあげたいけど、 煙が近所迷惑になるかもしれない」。こうした声も多いです。そこで人気なのが煙が少ない花火です。

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煙が少ないので遊んでも近所から苦情が来にくい。さらにインスタ映えという要因も加わっています。煙がないほうが遊んでいる人と花火がきれいに撮れます。 手持ち花火で中国産は1本数円~20円、 国産で「煙が少ない」とうたっているものは 40~50円と倍以上しますが、人気といいます。

今日の値段の方程式はこうなります。

 家庭用花火の値段は…… 煙の少なさ で決まる

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花火大会などで使用される大きな打ち上げ花火の値段はどうでしょう。打ち上げ花火の値段は大きさで決まります。花火玉の大きさは一寸(3センチ)が1号玉と呼ばれる。 10号玉が1尺玉になります。値段はこんな感じです。火薬原料の値上がりと人件費高でいずれも上昇傾向です。

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隅田川花火大会は5号玉

キャスターの八木ひとみさんから「普段の花火大会ではどのくらいの大きさを使っているんですか」と質問がありました。今週末に開かれる隅田川花火大会で打ち上げ最も大きいのが5号玉です。よく言われる3尺玉クラスになると開催地も限られてきます。代表的なのは新潟県長岡市の「ながおか花火大会」です。

今年は大きな花火大会の中止も相次いでいます。観客誘導、警備スタッフの人件費が上昇しています。神奈川県逗子市の「逗子海岸花火大会」は中止こそしませんでしたが、予算不足を補うため市民から寄付を呼び掛けています。

夏の夜空に輝く花火。まじかで見ると迫力満点です。世知辛い話は忘れてビール片手に花火を楽しみましょう。


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