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おっさんの優勝予想、セは巨人・パはソフトバンク プロ野球データ分析講座「もしおっさん」2回表

待ちに待ったプロ野球の開幕が3月29日に迫りました。みなさん、ごひいきのチームや選手のオープン戦の調子はいかがでしょうか。
日本経済新聞社は3月20日、パシフィックリーグマーケティングと共催で、野球データ分析を一緒に学ぶスペシャルセミナーを開きました。タイトルは「もし野球好きのおっさんがデータ分析を学んだら」2回表です。
2月に開いた1回表(第1回)に引き続き、チケットはあっという間に完売。追加席も瞬間でなくなりました。会場は約130人の野球好きのおっさんでびっしりです。

講師は1回表(第1回)と同じく、東北楽天ゴールデンイーグルスなどで活躍した元プロ野球選手の川井貴志さん(左)と、野球データ分析の専門家DELTA代表の岡田友輔さん。

今回は参加者のみなさんに「2019年のセ・パ両リーグの順位を予想してきてください」という宿題が出ていました。参加者の皆さんは1回表(初回)のセミナーで習った「ピタゴラス勝率」の考え方を使って予想をはじき出しました。

ピタゴラス勝率とは…チームの得点と失点から見込まれる勝率を計算する式である。勝利と敗北の比は得点と失点の比の二乗に比例するという統計的な法則に基づき、ビル・ジェイムズが考案した。式の形が「ピタゴラスの定理」を思い起こさせるところからその名がついている。
ピタゴラス勝率=得点の二乗÷(得点の二乗+失点の二乗)
詳しくはこちら

参加者のセ・パ両リーグの優勝予想はこんな感じでした。セ・リーグは巨人がトップ。広島が続き3番手がヤクルトです。パ・リーグはソフトバンクが半数以上を占め、西武、日本ハムが続きます。うーん、だれも優勝を予想していないのも数チームありますね。

参加者の予想の一部を紹介しましょう。田中伸克さんはセ・リーグ優勝予想を巨人としました。

■田中伸克さんの予想
セ・リーグ優勝予想:巨人
勝率:0.556
得点/失点:652/570(2018年:625/575)

・得点…昨年の50打数以上の選手の打点595(全得点の95.2%)
・今年度の新加入(丸、中島、炭谷)の打点をプラス
・退団(マギー、長野、中井)の打点をマイナスし593
・これを÷0.952して算出(新外国人、ドラフト選手は無視)
・失点…基本昨年の総失点からのプラス要素、マイナス要素で推測
・ドラフト1~3位に高卒以外の投手入団で5点改善(高橋)
・退団、新加入は変動なし。よって昨年より5点改善

田中さんは自分の予想について「正直、この前勉強した要素を入れた」と説明しました。デルタの岡田さんは「すごく割り切った考え方です。何が効いているのか、効いていないのかを検証するうえで、要素を削るのはデータ分析でものすごく大切」と感心していました。川井さんも「高卒のルーキーはなかなか活躍しずらい面がある。戦力として考えるとしたら考えにくい。それを考慮していないのはいいと思う」と評価しました。

ヒロさんはパ・リーグ優勝をソフトバンクと予想しました。

■ヒロさんの予想
パ・リーグ優勝予想:ソフトバンク
勝率:0.605
得点/失点:669/540(2018年:685/579)
・得点は移籍、引退打者の2018年度打点実績を加減
・失点も移籍、引退投手の2018年度失点を加減
・外国人選手は日本での実績不明のため考慮せず
・球場変更も攻守影響受けるので考慮せず

予想の根拠について、ひろさんは「得点と失点にのみ注力した」と話しました。ロッテの球場変更については考慮せず、としました。「確かに球場変更は攻守双方が影響を受ける。考慮しないのも分かる」(川井さん)。デルタの岡田さんも「球場変更の影響を切り捨てたのはひとつの見識ですね」とうなるほど。
意外性のある根拠が出てくると、説明を聞いている来場者の中からも歓声があがります。
みなさん、予想しているチームは違えど、その根拠にはどれも説得力があります。どれが当たってもおかしくない!!

では岡田さんと川井さんの予想は…

なんとお二人ともセ・パ両リーグの1~3位がぴったりでした。セ・リーグ1位が巨人、2位が広島、3位がDeNA。パ・リーグは1位がソフトバンク、2位が西武、3位が日本ハムでした。

岡田さんはセ・リーグ1位を巨人にした理由について「広島は打撃面で丸選手の移籍と菊池選手の成績が心配である」。投手についても「近年の好成績を支えてきた投手陣の疲労が心配だ」との分析を披露。「ほかの5球団にとって、ここ数年で最もチャンスがあるシーズンだ」と話しました。
パ・リーグは2人ともソフトバンクの優位を指摘しつつも、「最も上積みがあるのは日本ハム。ソフトバンクを上回ってくるなら日本ハムの可能性が高い」(岡田さん)と分析しました。


ほかにも「ここだけの話」としてメジャーリーグ、シアトル・マリナーズに移籍した菊池雄星投手の成績予想や「データでひもとくメジャーリーグのルール変更」などなど、野球への知的好奇心が刺激される内容。その後の質疑応答でも笑い声が巻き起こっていました。野球好きおっさんが飲み屋で話せるネタ満載であっという間に時間が過ぎました。

いや、おっさんではなく、知的に野球を語る、素敵なミドルに変わったのかもしれません。
もう開幕が待ちきれませんね。

【イベント実現の経緯】日経×パ・リーグという異色の組み合わせのイベント。きっかけは2018年10月に開催した「パ・リーグ×パーソル ベースボール データハッカソン」。コンサルティング部門で優勝したのが、なんと日本経済新聞社の記者でした。この企画提案がきっかけで、今回のイベントが実現したというわけです。

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