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タピオカとエネルギーの話 値段の方程式

BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラス」。今朝、「値段の方程式」のコーナーで取り上げたのは「タピオカ」です。タピオカミルクティーなど、今とても流行ってますよね。
タピオカミルクティーの値段を調べると、都内の大手チェーン店だとMサイズで500円ほど。どこも大体これくらいです。

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長い行列ができるお店も多く、かなりのブームです。タピオカミルクティーがここまで人気だと、やはりタピオカ自体の値段も上がっています。

値段は2002年比3倍

日本の輸入金額を数量で割ると、2018年の1キロあたり単価は293円。
2002年に比べると3倍ちかくまで上がっています。数量で見ても2018年は3000トンと前の年に比べて50%増となっています。グラフでもブームのすごさがわかると思います。

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タピオカは1992~93年、2002年と過去2回のブームがありました。今回が3回目です。キャスターの天明麻衣子さんから「ブームは3回目。今回はなぜ、ここまで需要も金額も上がっているのでしょうか」と質問がありました。今回のブームは過去のタピオカブーム時にはなかった要因がいくつか挙げられます。
①人気観光地の台湾で本場の味を知る人が増えた②その本場台湾のお店が日本出店した③インスタ映えするためSNSで拡散したーーなどです。

今日の値段の方程式はこうなります。

タピオカの値段=行列の長さで決まる

当たり前と言えば当たり前ですが、ブームの時と、ブームじゃない時を比較すれば値段の動きは明白です。
値段が上がっていても、それでも1キロ300円。タピオカミルクティーの利益率はまだ高いです。さらに冷凍タピオカができてから調理も簡単ですから、出店が急速に増えているのもうなずけます。

自作なら1杯70円ちょっと

番組内で自作してみました。市販のミルクティーとお湯で戻すだけの冷凍タピオカを使います。キャスターの八木ひとみさん、豊嶋広さんに食べていただきました。味はお二人からも好評でした。
今回の原価はなんと1杯70円ちょっとです。

自作タピオカミルクティーの原価計算
ミルクティー1パック(104円)の8分の1使用=13円
市販の冷凍タピオカ(297円)の5分の1=59.4円
1杯の原価は13円+59.4円=72.4円

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外食の原価率は一般的に30%前後といわれています。まあ、タピオカ飲料もそんな感じじゃないでしょうか。

原料は燃料にも

ところでタピオカの原料ってご存知ですか。実はキャッサバという、イモなんです。

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キャッサバの主な生産国はナイジェリア・コンゴなどアフリカとタイやインドネシアといったアジア。南米でも生産されています。

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アジアではデザートとして食べられていますが、アフリカでは主食です。

キャッサバを巡ってはこんな話題もあります。トウモロコシやサトウキビといった植物から作るバイオ燃料というのがあります。実はキャッサバもバイオ燃料に使えるのではないかと考えられ、燃料を作る試みがあります。

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この試みには、日本のサッポロビールもかかわっています。タイ最大級のタピオカ製造工場内に、バイオエタノール製造プラントを設置。キャッサバからデンプンを抽出した後ののこりかすからバイオエタノールを作り出します。サッポロビールが開発した高温発酵酵母を用いて効率的にバイオエタノールを作る技術を実証しています。我々が食べているタピオカが将来のエネルギー不足解決の切り札になるかもしれませんね。

八木さんが手にしたタピオカミルクティーをみながら、「タピオカミルクティーって、そんなに広がる話だったんですね」と話します。最後に豊嶋さんから「米国などでガソリンに混ぜて使うバイオ燃料というとトウモロコシなどを原料にすることが多い。原油急騰時にバイオ燃料に回る量が多くなると、飼料用のトウモロコシの確保が追いつかなくなって値段が上がったという話を聞いたことがある。キャッサバを燃料に、という話は面白いがあまりやり過ぎると、タピオカの値段がいよいよ上がって飲めなくなる、なんてことはないですか」と聞かれました。
原油価格が高騰した時代のことです。2008年7月にニューヨークの原油先物価格は1バレル147ドルと年初比3倍まで上昇しました。このころ、バイオ燃料が注目され、豊嶋さんが指摘したようにトウモロコシの値段も上がりました。
キャッサバからデンプン(タピオカ)を搾り取ったカスを使っていれば、食用の需給には影響しません。ただ、原油価格の動向によってはイモをそのまま使うようになって、トウモロコシやサトウキビと同じことがおきるかもしれません。一方でキャッサバは比較的栽培しやすい作物ですから需要増への対応も早そうです。すべては需給動向に左右されます。

値段の方程式でも指摘しましたが、タピオカの値段はブームがいつまで続くのかにかかっています


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