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アイス値上がり、甘くない事情

突然ですが皆さん、 今日5月9日が何の日かご存知ですか?
「アイスクリームの日」です。 東京アイスクリーム協会が5月9日をアイスクリームの日と決めました。 暦の上では6日から夏が始まっていて、 ゴールデンウィーク明けからぐっと気温も上がることで、 この時期を境に、アイスクリーム商戦が本格化します。 ということで、今朝のBSテレ東 日経モーニングプラス「値段の方程式」ではアイスクリームを取り上げました。 

最近の話題はこちらです。

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皆さんの中でも感じていらっしゃる方がいるかもしれませんが、多くのアイスが値上げしています。 ロッテや森永乳業、明治の3社は3月から、ハーゲンダッツは6月から多くの商品を値上げします。 この規模の値上げは4年ぶりのことです。店頭価格も3~5%程度上がっています。
 値上げの背景にはある共通項があります。 バニラが原料に含まれています。このバニラの価格がここ数年で急激に上昇しているのです。

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日本が輸入しているバニラのおよそ90%はアフリカのマダガスカル産です。マダガスカルが2017年3月のサイクロンの被害で、生産量が2~3割減少した。 バニラの木を植え替えても安定的に収穫できるまでに10年ほどかかります。供給不足になり、値段が上がっている構図です。
さらに価格が高騰を受け、先高を期待した投機目的の業者による買占めが起こっています。さらに価格がつりあがっています。アイス以外に、化粧品の香料やお菓子、 アルコールへとバニラ需要が拡大しており、品不足に拍車がかかっています。当面はバニラの値上がり傾向は収束しないとみられ、アイスの値段にも響きそうです。


きょうの値段の方程式はこうなります。
 アイスクリームの値上がり = バニラビーンズの高騰 + α 

キャスターの須貝茉彩さんから「+アルファは何ですか?」と質問されました。バニラ豆の高騰による影響がかなり大きいですが、 物流費の高騰や主な原料の牛乳や卵の値上げも要因の一つになっています。アイスは輸送時の温度管理が難しく、ほかの食品よりも輸送費の占める割合が高いようです。

せっかくの「アイスの日」なので豆知識を。アイスクリームは乳脂肪分など成分によって区分されています。

アイスクリーム類と氷菓の分類
アイスクリーム(乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上)
アイスミルク(乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上)
ラクトアイス(乳固形分3.0%以上)
氷菓(かき氷など)

4つのジャンルを合計したアイスの消費量は年々拡大しています。2017年度には年間の消費量が5000億円を突破しました。

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この10年で3割以上増えて、身近な食品でいうと豆腐の小売市場と同じ規模になりました。消費量が年々拡大している背景は何でしょうか。日本アイスクリーム協会によると、アイスクリームの消費量が拡大している理由は次の2つです。

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冬アイスの定着
各社が宣伝に力を入れ冬季に重点的にテレビコマーシャルに 力を入れていることもあり、アイスは夏だけではなく、年間を通じたし好品 という位置づけが年々定着してきています。
シニア層の消費拡大
小さいころから身近にアイスがあった団塊の世代がシニアになったことでシニア層のアイス消費が伸びています。シニア層は多少値段が高くても質の良いものを求める傾向があり、販売額が伸びる要因になっています。

アイスクリームが通年商品になったといってもやはり夏場が最も売れます。1世帯あたりのアイスクリームの月間支出額でみると7、8月の最盛期に1年の売り上げの3割が集中しています。最も売れるのが25度前後と言われています。30度以上の猛暑になるとかき氷など氷菓に需要がシフトします。今年の商戦はどうなるでしょうか。4月以降も雪が降る地域もあるなど全国的にみると、気温が一本調子には上昇していません。「暑くならないと売れ行きが上がってこないし、暑くなりすぎると売れ行きが鈍ってしまう」--。アイス各社にとって気をもむ日が続きそうです。


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