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高野寛+伊藤大助 / 高橋幸宏さん還暦ライブ / 星野源君のレコーディングに参加(2012)

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*2012年の出来事:東京スカイツリーが竣工・開業 / ロシア大統領選挙の第一回投票でウラジーミル・プーチン候補が当選 / アメリカ・カリフォルニア州、コロラド州、ウィスコンシン州などで相次いで銃乱射事件が発生 / ロンドンオリンピック開催 / パナソニック、VHS方式の家庭用ビデオテープレコーダの生産を終了 / 東日本大震災の影響で8ヶ月間延長されていた、岩手県・宮城県・福島県の地上アナログ放送が終了し、全国で完全デジタル化が完了 / 5月20〜21日、日本を含む北太平洋で金環日食を観測 / NTTドコモがタワーレコードを子会社化 / 九州北部(大分県・熊本県・福岡県・佐賀県)で記録的な豪雨(平成24年7月九州北部豪雨)/ オウム真理教事件の全捜査が完全に終了 / 12月、自由民主党総裁・安倍晋三が内閣総理大臣に再就任

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2012年、生まれてから5回目の辰年、48歳。この年も多くの舞台に立った一年だった。ソロアコースティック、バンド、そしてセッションギタリストとして、様々なライブを味わい尽くした。

2012年が明けてすぐに、セッションを始めた。クラムボンのドラマー・伊藤大助君(大ちゃん)とのセッション。ヴォーカル&ギター(僕)とドラムの二人だけのバンドを始めることにしたのだ。

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GANGA ZUMBAの活動は一段落し、pupaの予定もなかった。弾き語りとは違う刺激が欲しい。そんな折、クラムボンの活動を小休止していた大ちゃんと二人で旅をするのはどうだろう?と思った。2011年には福岡の嘉穂劇場でクラムボンのサポートギタリストとして久しぶりに共演して、改めて彼らの成長を感じていたところだった。

二人組のバンドといえばWhite Stripesが筆頭だが、たまたま2011年秋にチャットモンチーも二人体制になったばかりの頃。


まず新曲を2曲作って、お互いのレパートリーをカヴァーしたりしながらアンサンブルを固めていった。コンピューターは使わず、ループマシン(その場で演奏を録音してどんどん重ねられる装置)と人力だけでどこまで深められるかを追求した。

録音してたら、隣のスタジオにレキシがいた(笑)

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会場限定販売のEPを携えてツアーに出た。2ヶ月間、18本の旅。

「高野寛+伊藤大助(クラムボン)」 TOUR 2012 : happening !!
■ 4月6日(金)三重・松阪M'AXA
■ 4月7日(土)大阪・cafe martha
■ 4月8日(日)岡山・城下公会堂
■ 4月10日(火)米子・AZTiC laughs
■ 4月11日(水)松江・AZTIC canova
■ 4月13日(金)神戸・cafe Fish!
■ 4月14日(土)京都・U★STONE mini
■ 5月20日(日)富山・フォルツァ総曲輪
■ 5月22日(火)滋賀・U☆STONE
■ 5月23日(水)奈良・LUSH LIFE
■ 5月25日(金)福山・Tree Cafe Unplugged
■ 5月26日(土)姫路・ハルモニア
■ 5月27日(日)鳥取・ギャラリーそら 
■ 5月29日(火)香川・umie
■ 5月30日(水)愛媛・若草幼稚園
■ 6月1日(金)高知・X-pt.
■ 6月3日(日)名古屋・ell.SIZE
■ 6月8日(金)渋谷・duo MUSIC EXCHANGE

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松江から神戸に移動する時、偶然松江に居たMIYAのライブに飛び入りするというハプニングも。

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移動はほとんど車だった。時々ハンドルを握った。自分で運転するツアー、実は初めて。バンドマンにとっては当たり前のそんな旅が、宅録育ちの自分にとっては新鮮だった。助手席ではいつも写真を撮っていた。

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5月20日の富山ライブの日の朝、皆既日食に遭遇。東京は雲に覆われていたその時、富山はよく晴れた。木漏れ陽と影が三日月の形に、神秘的だった。

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日食にインスパイアされて「太陽と月、ひとつになるとき」という新曲が生まれた。歌詞はツアーの中で歌いながら仕上げた。強く響くことば、意味よりも自然に口をついて出る言葉を優先していった。ステージでお客さんに向かって歌い続けると、歌が向かうべき方向が自ずと見えてくる。

ツアー最終日、6月8日の渋谷・duo MUSIC EXCHANGEでの録音をライブ盤として完成させて10/31にリリース。ライブ盤がデビューアルバム。間髪入れずアルバムを携えて再びツアーへ。

2012 autumn tour「happening again」
■ 11月8日(木)名古屋・K.D Japon
■ 11月10日(土)大阪・Music Club JANUS
■ 11月11日(日)浜松・窓枠
■ 11月13日(火)東京・shibuya duo MUSIC EXCHANGE
■ 11月17日 (土) 福岡 ROOMS  
■ 11月18日(日)鹿児島・GOOD NEIGHBORS


TKN+DSKは大いなる挑戦だった。二人バンドという制約。曲を育てながら、SNSをハンドリングして告知し、自分で車のハンドルも握るツアー。60年代のバンドのようにライブアルバムでデビュー。若者のように無鉄砲な初期衝動にあふれていた。大ちゃんはいつも無口なので、一緒に居た時間の長さに比して交わした言葉は多くない。でも、ずっと音で語り合っていた。

翌年から、僕はソロに、大ちゃんはクラムボンの活動に再び戻った。あの頃はまだ大ちゃんも僕もスマホを持っていなかったので、手元に残っているのは幾つかの記念写真と音源だけ。動画はない。まるで、長い夢のような旅だった。

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