「ベステン ダンク」と叫びながら(1990②)

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8/24。トッド・ラングレンとのレコーディングが日本で始まった。
僕は少し自信なさげに、このデモをトッドに聞かせた。何曲か悪戦苦闘して作ったが、その中ではこの曲が最もシングル向きだった。

聞いて分かる通り、それまでの作品と比べてサウンド的な工夫のない、ありきたりのギターポップだった。せっかく「虹の都へ」で切り開いた新しいサウンドの世界が、2ndアルバム以前に戻ってしまったようでもあった。

おそらく、皆さんの耳には最終型の印象が残っているので、イメージを補完して聞いてしまうと思うけれど、このデモを最初に聞いていたら、曲自体のインパクトはもっとずっと弱かったかもしれない。やはり、デモを聴き終えた後のトッドの表情は、厳しかった。

トッドはしばし黙考した後、僕には何も告げず、おもむろにキーボードに向かってシンセを弾き始めた。全体を印象づけるリフレイン。トッドの十八番とも言うべき独特なテンションコードが緊張感を産み、シンコペーションが力強さと前向きさを強調する。サウンドの変化が、曲にマジックを呼んだ。

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ベステンダンク !
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高野寛のnote

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コメント2件

ベステンダンクのデモ、デモの段階でも非常に素敵に聴こえてしまうのですが・・。
新曲発表!ということでFM横浜のブランニューコレクションを待ちに待って社員旅行中にラジカセ(笑)持って歩いたこと思い出しました。その時の空も晴れ渡っていたなぁ
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