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「夢の中で会えるでしょう」 キングトーンズに捧ぐ

キングトーンズのリーダー、内田正人さんの訃報を知る。

子供の頃、テレビでよく聞いていた名曲「グッドナイト・ベイビー」(1968)。このデビュー・シングルは大ヒットし、オリコン2位を記録。
米ビルボード・R&B部門でも 48位に。

僕が触れた、最初の和製R&Bでもあった。

1993年ごろ、キングトーンズへの曲提供の依頼を頂いた。
その頃、シュガー・ベイブの「DOWN TOWN」が元々はキングトーンズのために書かれた曲だったというエピソードも知った。
(結局その企画は流れてしまい、後にシュガー・ベイブの作品として発表された)

「夢の中で会えるでしょう」は、僕のR&B原体験ともいえる「グッドナイト・ベイビー」へのオマージュを込めて作った。詞の世界観、そして「ドレファーラーソファ」で始まる冒頭のメロディ。(更にイントロのⅠmaj7 - Ⅱm7 - Ⅲm7 - Ⅳmaj7 - Ⅳ6onⅤ のコード進行は「DOWN TOWN」へのオマージュでもある)

メロディを思い浮かべたとき、僕の頭の中では内田さんの声が歌っていた。
他のヴォーカリストの声を浮かべながら曲を作ると、自分の中の「作家モード」が発動する。ええかっこしいの自我が消え去り、思いがけない曲が浮かぶことがある。

*沢田研二さんに書いた「幻の恋」もそんな1曲。


「夢の中で会えるでしょう」は諸般の事情により、1994年に僕自身が先に発表することになった。坂本龍一プロデュースによるN.Y.録音でシングルを制作。


シングル発売後、1994年秋の坂本龍一ワールドツアーにギタリストとして参加することになった際に、国内ツアーでは坂本さんと一緒にこの曲を歌う機会を得た。


1年後、キングトーンズの1995年のアルバム「SOUL MATES」には、「夢の中で会えるでしょう」のキングトーンズバージョンと、「DOWN TOWN」のカヴァーが収録された。アレンジはシュガー・ベイブのギタリスト、村松邦男さん。

*20201.23.追記:キングトーンズ結成60周年を記念して「夢の中で会えるでしょう / DOWN TOWN」が7インチアナログシングル盤でリイシュー。

1995年春から一年間、NHK教育テレビの番組「土曜ソリトンSide-B」の司会を務めた。

坂本龍一さんがゲストの回、エンディングでは二人で「夢の中で会えるでしょう」を再演。


そして、スタジオライブ特集の回に、初めてキングトーンズとの共演が実現した。至福の時だった。


2018年にデビュー30周年記念で発売した対談集のタイトルにも「夢の中で会えるでしょう」を選んだ。

https://www.haas.jp/yumenonaka

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「夢の中で会えるでしょう」は、キングトーンズと内田さんの声なくしては生まれなかった曲。本当にありがとうございました。。。。

*2021.12.2.追記:2021年12月20日に、「夢の中で会えるでしょう」2021 ver.がアナログ7inchシングルとしてリリースされることになりました。(完全生産限定盤・CD化の予定はありません)

*ディスクユニオン:https://diskunion.net/jp/ct/detail/1008386865

*芽瑠璃堂:https://merurido.jp/topic.php?srcbnr=53678

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この曲は、多くの方々にカヴァーされた。

*金城武さん(1995)
*SMOOTH ACE (2003)
*鈴木雅之さん(2011年)
*蓮沼執太フィルによる、
高野寛25周年トリビュートアルバム収録のバージョン

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僕自身が歌ったライブテイクもいくつか。

*高野寛×権藤知彦 with くもりなバンド×田中佑司×中島ノブユキ(2011)
*広島・江田島・海友舎にて(2013)
*奈良市・法徳寺(2014)


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