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ナタリー・ワイズ 「film, silence」発売 / 宮沢和史ヨーロッパツアーでの試練 (2003)

*2020.7.25.加筆修正しました。
*デビュー30周年・2018年のエピソードまでの連載です。このページ単体で¥200でも読めますが、¥3000でマガジン「ずっと、音だけを追いかけてきた」を購入していただくと、全ての連載記事(全42話・¥8400相当)を読むことができます。
*2003年の出来事:スペースシャトル・コロンビア号が墜落 / アメリカ合衆国で iTunes Music Storeが開始される / 六本木ヒルズがオープン / 東海道新幹線・品川駅が開業 / 宮城県沖・宮城県北部・十勝沖など各地で大きな地震が相次ぐ / 暖冬・冷夏・暖秋・残暑・11月の記録的高温など異常気象が続く

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2002年からはギタリストやサウンドプロデューサーとしての活動が活発になった。2002年から2003年の間にサウンドプロデューサーとして録音に参加したアーティストは、野宮真貴・関口和之(サザンオールスターズ)・有里知花・山下久美子・SUPER BUTTER DOG・櫛引彩香など。

ギタリストとしては、SWEET ROBOTS AGAINST THE MACHINE(TEI TOWAの別名義プロジェクト)・クラムボン・YUKI・畠山美由紀などの作品に参加した。プロデュース作品にナタリー・ワイズのBIKKEが作詞で、斎藤哲也がキーボードで参加することも多くなった。

中でも4月23日に発売された小泉今日子さんのアルバム『厚木I.C.』は、アルバム全体に深く関わった作品の一つ。作家陣は僕、BIKKE、そして宮沢和史君、ハナレグミ・永積タカシ君、浜崎貴史君、曽我部恵一君など。ナタリー・ワイズの演奏を軸に、様々なタイプの曲調に挑戦した。

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宮沢和史・作詞作曲による「モクレンの花」は、ギタリスト佐橋佳幸さんにも手伝っていただきながらティン・パン・アレイのメンバーと録音した印象深いセッション。SUPER BUTTER DOGの「サヨナラCOLOR」をナタリー・ワイズのメンバーと演奏したのもいい想い出。

そんな様々なセッションワークを経た後、ナタリー・ワイズは坂本美雨さん、小泉今日子さんもゲストボーカルで参加した2ndアルバム「film, silence」をリリースした(5/30)。「ドラムレス」を貫いた静謐な曲とポップな要素のバランスが、映像的な音の世界を描き出した。

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4月には「小坂忠 & NEW BLOOD TOUR」にバンマスとして参加した。
メンバーは僕と堂島孝平君、そしてSUPER BUTTER DOGからタカシ以外の池田貴史、竹内朋康、TOMOHIKO、 沢田周一の4人。気心知れた皆との旅はとても楽しくて、忠さんと一緒に歌っているとどんどん声が出てくる。そして忠さんの歌の素晴らしさとタフネス。東京・名古屋・大阪・広島・福岡の5公演があっという間だった。詳しいレポートが忠さんのブログに残っている。
https://chu-kosaka.com/lib/?entry=entry030508-000000

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2002年に続いて、宮沢和史ソロプロジェクト「MIYAZAWA-SICK」は海外ツアーに挑戦した。この年はポルトガルとポーランド、そしてドイツへ。しかしこの旅は、試練の旅でもあった。

メンバーは相変わらず多忙な中日程をあわせて3日間のリハの後、ポルトガルに到着。マルコス・スザーノはブラジルから逆向きの便で合流した。

*リスボンにて。左から、2003年にメンバーに加わった土屋玲子(vln、二胡)・クラウディア大城(cho)。僕、tatsu(b) *pic by tatsu.

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当初ポルトガルではアゾレス諸島の島とリスボンの2箇所でライブが予定されていたが、様々な事務的なトラブルが重なり、島でのライブは土壇場でキャンセルされてしまった。リスボンのライヴ会場も何度も変更されて、最後に決まった会場は、郊外の巨大な森林公園内にある野外特設ステージだった。

しかしその場所は普段から人通りもほとんどなく、集客の厳しい立地。さらに会場が変更になったので事前の告知もできていない。日本と違い、我々の活動はほとんど知られていない。そこでスタッフが急遽告知フライヤーを作って、リスボン市内のCDショップ・コンサート会場・安宿・バーなどさまざまな場所で配ることになった。

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