高野寛 ≦ 「HAAS」 ・インターネットの海へ (1998年①)

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*1998年の出来事: Windows98発売 / Google設立 / 日本でiMac発売 / 原宿の歩行者天国が廃止され21年間の歴史に幕を閉じる / 明石海峡大橋が開通 / 長野オリンピック開催 / エルニーニョ現象の影響で世界的な異常気象が発生し、世界の平均気温が観測史上1位の記録的な高温となる / 日本国内での音楽CDの生産金額が約5879億円(レコードやカセットテープを含めると約6075億円)CD生産枚数が合計で約4億5717万枚とそれぞれ国内史上最高を記録しCDバブル絶頂期となる / ヴィジュアル系バンドブーム / 貴乃花と若乃花、史上初の兄弟横綱が誕生 / ポケベルが地方の中高生を中心に最後の流行。都市部では大学への進学や卒業を機にPHSや携帯電話への移行が進む


僕が最初にネットの世界に飛び込んだのは、Windows95が発売されパソコンブームが始まった95年、「土曜ソリトンSide-B」の司会をやっていた頃。

きっかけを作ってくれたのは坂本龍一さんだった。95年の坂本さんのアルバム「Smoochy」に歌詞を書くことになったのだが、坂本さんから(当時話題になり始めていた)インターネットをモチーフにした詞を書いて欲しい、というオーダーがあった。

その頃メールアドレスを持っている人はまだまだ少数で、僕もネットには触れていなかったので、ニューヨークの坂本さんとは留守電とFAXで歌詞のやりとりをしていた。ところが時差もあってレスポンスは遅れがち。そんな折、業を煮やした坂本さんからこんな司令が下った。

「インターネットがテーマの詞なんだから、高野くんもメールを始めなさい」

さてここからが大変。この時代、メール一つ送るのにも案外高いハードルがあった。まず当時使っていたMAC Power Book 180cだと、インターネットに繋ぐのにマシンパワーが足りないことが判明(ラップトップはデスクトップに比べて非力だった)。ネット黎明期は繋ぐ (=モデムを駆動する)だけで相応のマシンパワーが必要だったのだ。それにしても、パソコンがネットに繋がってなかったなんて、今考えると不可思議にすら思える。

*PB180c。apple初のカラー液晶ラップトップ。
iPad mini(7.9インチ)より少し大きいだけの8.4インチの画面。ディスプレイの周りの余白が今となっては新鮮。

僕にとっては基本仕事のための道具だったので、ワープロ、音楽制作ソフト(Performer)と、お絵描きソフト(kidpix)、あとピンボールゲームしか入れてなかった。まだ、デジカメも持ってなかった。


詳しい方に調べてもらうと、インターネット普及以前から存在したローカルな(日本国内用の)コンピューターネットワーク「パソコン通信」のアカウントを取得すれば、パソコン通信経由でインターネットにメールが送れることが判明。

*その時入会した「nifty serve」の画面(復刻版)。見ての通りテキストのみの質実剛健な画面。いろんなコミュニティがあって、中は後のmixiみたいな感じ。覗いてみたが僕には興味が持てず、結局メールの中継地点としてのみ1年間ほど活用。


そんなこんなで、なんとかメールだけは使えることになった。
満を持して坂本さんのアドレスに生まれて初めてのメールを送信。
即座に、短い返信が。

「Congratulations! Wellcome to Cyber World !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

その時の興奮は、今でも忘れられない。あの頃「サイバーワールド」という言葉には、リアルな未来のイメージがあった。

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コメント1件

「電脳戯話」好きでしたが、今のネットって現実的だなと思います。
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