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MAMORIO株式会社CTO( https://mamorio.jp/ )。 発言は個…

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MAMORIO株式会社CTO( https://mamorio.jp/ )。 発言は個人の見解であって、所属組織を代表するものではない。

最近の記事

お前は一生砂糖水を売り続けるのか?という問いについて

ペプシコのジョン・スカリーを引き抜くときにジョブズが言った「お前は一生砂糖水を売り続けるのか?それとも我々と一緒に世界を変えたいのか?」という台詞は、単に気が利いているだけではなく、ある程度以上の年齢になると間違いなく自分自身へ刺さる問いになってくるところがあって良い。 砂糖水の喩えが秀逸なのは、ある企業の偉大さとかくだらなさというのは結局のところ、待遇とか、技術力とか、市場に占めるシェアとか、会社のカルチャーがユニークであるとか、そういった目に見えるような指標では測れない

    • 良いプロジェクトの条件について:ウォズニアック伝を読む

      『アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝』を読んだ。 Apple社の伝説的なエンジニアによるモノローグ形式の自伝なのだけれども、彼が携わってきたパーソナルコンピュータという産業の立ち上がりから現代にいたるまでのさまざまなエピソードを通してプロダクトづくりの教訓を得ることができた。 それは一言でいえば人は少なく納期は短くということだ。 命がかかっているのに他人事 スティーブ・ウォズニアックという人物の功績は世界で初めて一般人むけのパーソナル・コンピュ

      • 企業が外部のエネルギーを取り込むことについて: ティム・クックとクレーマー

        日本企業が世界で存在感を失い停滞している理由は株主も含めた人々一般の企業というものにたいするの期待の低さかもしれない、ということをティム・クックの本を読んで思った。 クレーマーとの対話ティム・クックはカリスマであるスティーブ・ジョブズからAppleを引き継ぎ、さらに成長させるという困難なミッションを達成した人物だ。 iPhone5以後のシリーズやAppleWatchをヒットさせ世界最大の企業に押し上げた経営者であり、80年代生まれの世代とってはむしろジョブズよりも彼の代で

        • ミニマリズムについて:Apple社のデモクラシーと独裁

          AppleがMAMORIOの競合製品を出してくるという噂が現実味を増してきたので、今更ながらAppleの本を読み直している。 読み直してあらためて、自分たちがこれからおそらく直面するであろう相手というのは頭のてっぺんからつま先まで狂った人間が作った会社なんだなあと思いワクワクしている。 テック企業のデモクラシーと独裁Appleという会社の歴史を読み直して興味深いのは1997年に復帰したジョブズによって抹殺されることになる「民主的」な意思決定プロセスだ。 ジョブズが復帰し

        お前は一生砂糖水を売り続けるのか?という問いについて

        • 良いプロジェクトの条件について:ウォズニアック伝を読む

        • 企業が外部のエネルギーを取り込むことについて: ティム・クックとクレーマー

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          テクノロジーは回転寿司である

          最近勤めている会社でコーディングだけでなくチームビルディングや経営にも責任を持つよう求められていて、一方で「プログラマー35歳定年説」の年齢に自分が近づきつつあることについて色々と思うことも出てきたので、似たようなキャリアを歩んだ先人の人生を参考にしようと思い本を読むことにした。 テクノロジーは回転寿司であるまず、読んでいて一番感銘を受けたのは、岩田が技術というものに対して案外冷静な見方をしているところだ。 一般的に、エンジニアは新しもの好きで、Apple社の新製品やスマ

          テクノロジーは回転寿司である

          我々は持たないことによって屈さない、というAppleのプライバシー強化方針について

          2019年6月4日から1週間開催されたApple社のカンファレンス、WWDCは高すぎるMacProのスタンドや旧来の開発言語であるObjective-Cの負の遺産に終止符を打ったSwiftUIが多くの反響を呼んでいるが、発表されたステートメントの中でも特に際立っていてたのがApple社によるプライバシー強化の方針だった。 初日の基調講演では「我々はプライバシーは最も基本的な人権であると信じている」という宣言がなされ、続く6月5日に行われたセッション「Designing fo

          我々は持たないことによって屈さない、というAppleのプライバシー強化方針について