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【Inspire Talks #07 by DESIGN ACADEMY:研究者たちのプレゼン】

【Inspire Talks #07 by DESIGN ACADEMY:研究者たちのプレゼン】
今回は特にテーマはなく、三人の研究者によるプレゼンを聞いた。

登壇者は以下の通り(発表順)。
(1)鳴海紘也さん :マテリアル志向インタフェース
(東京大学 大学院情報理工学系研究科 川原研究室 博士学生)
(2)岡部徹さん : チタンの最前線(*これは私が勝手につけたタイトル)
( 東京大学生産技術研究所 岡部研究室 教授)
(3)ノルウェン モデ : デザインとサイエンスのコラボレーション(*これは私が勝手につけたタイトル)
( 東京大学生産技術研究所 DLX - Design Lab 特別研究員)

やはり前回のような統一したテーマ性もなく、三人によるクロストークも行われないとなると、
素人にはなかなか全体としてのメッセージはつかみにくい。研究者たちの発表スタイルはこんなものなのかな。関心のある人のプレゼンが終わるとさっと帰っていった人がいた。

一番驚いたのは、2017年11月に東京大学本郷キャンパスみた「東京大学制作展 2017 “WYSIWYG? – What You See Is What You Get?” 」で体験した「Papilion」に、鳴海さんのプレゼンテーションで再び出合ったことである。
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「Papilion」は <Papilio(蝶)+ Pavilion>の意味。 ソフト・ロボティクスの技術を利用した環境適応型の実験建築として“WYSIWYG?” で展示されていた。気温で駆動するアクチュエータにより、ドーム表面が羽ばたくように変形するとされていたが、展示の日にはうまく動いていなかったように記憶している。能動的なエネルギーの供給を必要とせずに内部環境を自律的に調整する羽のようなユニットはモジュール化されており、印刷技術によってつくられているのだ。

そのモジュール技術を鳴海さんが開発していたのだ。彼はこの日のプレゼンで、自分の取り組む研究の目標としてこう言っていた。
「紙のようなありふれた頼りない物体が感じて動く世界を実現したい」
そうなったらどんなことが起こるのだろう。どんな世界が待っているのだろう。
おそらく彼の意識は、もっと要素技術的な側面にある。
それから、彼の発表は、驚きの技術へと展開していったが、
それは公開不可ということだったので、ここでは触れない。

岡部徹さんのプレゼンテーションは、チタン一色だった。岡部さんの展示も
東京大学生産技術研究所70周年記念展示「もしかする未来 工学×デザイン」で見たことがあった。時間がない中でさっと回ったので、そこにチタンのチェアがあることの意味などわからなかった。チタンは安価な精製技術が開発されれば、一気にコモデティティの世界に入り込んできそうだ。今は、戦闘機や宇宙開発や。HONDAがNSXのボディをチタンでつくったのではなかったか。

ノルウェン モデさんは、通訳を介してのプレゼンテーションだったが、サイエンスとデザインがコラボレーションするために生み出した「トレジャー・ハンティング」という手法について紹介するものだった。東大生産研の中で何が起こっているのか、可視化してくれたということが言えるのかもしれない。

鳴海さんの研究が、スペキュラティブ・デザインに応用されたらどうなるんだろう。紙のようにありふれた頼りない物体。それって人間じゃないのか。そんな気もする。

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