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カルチャーのテストラボ。9000キロ離れたヨーロッパで醸成されるGoodpatch OS

Goodpatch Tokyoで丸3年働いて初めて、ベルリン出張に行ってきました。9000キロ離れた土地でどのようにカルチャーが醸成されているのか。このnoteは出張中に得た学びをまとめたものです。

「いつかベルリンに」突然やってきたチャンス

Goodpatch Tokyoメンバーが誰しもが行きたいベルリン出張。

「いつかチャンスがあったらベルリン出張に行かせてもらいたい。」

そうキャリアシートにこっそり書いたのは出張から半年前のことでしたが、チャンスはすぐにめぐってきました。

これまでの3年間。PRという仕事柄、何千回も「ヨーロッパにオフィスがあります。そこにはこんな素晴らしいメンバーがたくさんいて、こんな優れたプロダクトを作っていて...」と紹介し続けてきました。
しかし話す度に「(でも私は行ったことないんです)」という言葉を心の片隅に抱えて過ごしてきました。

今回チャンスをいただいたおかげで、これからは胸を張って自分の目で見たことを自分の言葉で伝えられるんだ!と喜びを噛み締めるのと同時に、私が長年リスペクトしているリーダー、Goodpatch Europeマネージングディレクターのボリスが立ち上げた作品であるカルチャーを体験できることをとても楽しみに日本を発ちました。

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今回の出張の目的は主に3つでした。
・組織文化醸成のための現場レベルでの取り組み情報交換
・現地メンバーとのリレーション構築、組織文化の体験
・Goodpatch組織全体としての視座獲得

Tokyoから持っていったもの

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私が担当しているPR/PXグループが取り組む業務レベルでのナレッジを持って行きました。その中でも特に現地メンバーから質問が多かったのは以下の項目でした。

・企業文化についての考え方(図解したもの)
・People Experience(PX)という考え方、取り組み
・バリューの浸透度の調査、ナレッジシェア

People Experienceというコンセプトを元に、チームを立ち上げたこと。そなしてバリューの浸透を「浸透度」という軸で全社サーベイを行い、プロジェクト化しPDCAを回している活動を主に話しました。中でも浸透度の考え方にみんな興味を持ってくれてディスカッションが生まれました。

Tokyoに持って帰ってきたこと

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Goodpatch EuropeのHRは主にサンドラ1人でハイアリングからオンボーディングまで回しています。彼女はHRとしての経験が豊富で、メンバーからもとても信頼されています。サンドラは2018年7月の経営合宿の際にも来日していたこともありこれまでに度々対話の機会はありましたが、今回の出張でより多くの時間を過ごすことができました。

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Goodpatch Europeのマネージングディレクターであるボリス、そしてサンドラとディスカッションを続けているのが「Goodpatch OS」の共通化です。TokyoとEurope、市場の違い、組織のサイズ感やマネジメントの方針も異なるため、もちろんローカライズが必要な部分もありますが、大きなところでは私たちには同じGoodpatchなので共通しているところも多いです。

Goodpatch OSとは?

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Goodpatch OSとはGoodpatchが大切にしているカルチャーを言語化して、デックにまとめたものです。カルチャーは常にアップデートされていくものであるので、「OS」という概念で運営されています。Goodpatch Europeでは選考のタイミングからオンボーディングまで全てGoodpatch OSを用いてGoodpatchのカルチャーを説明しています。

Goodpatch EuropeのGoodpatch OSには以下の4つの項目があります。

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Diversity

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Goodpatch Europeでは国籍、LGBTQ、ジェンダー。特に女性のリーダーシップに関して注力して組織に反映しています。しかし、GoodpatchがどのようにDiversityを捉え、どのように体現するか。この分野で取り組みなどは始めているものの、まだまだ明確化されていません。ご覧の通りボリス自身は多様性について、国籍、ジェンダー関しても自然に体現しており、私たちが見習う必要があるところは多くあります。

Self Organization

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Holocracy LiteをGoodpatchに合うようにカスタマイズしたものです。Goodpatch OSはホラクラシーとOKRを組み合わせて運用されています。現在、Holocracyに含まれていないのは、どのようにMTGをファシリテートするかなどのナレッジ。組み込むことが大切だと思っているそうです。

Learning(Feedback Culture)

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Feedbackを含むメンバー同士が学び合える機会のことです。もともとFeedback Cultureでしたが、最近アップデートされてLearningになりました。「学ぶこと」が目的で「フィードバックする」ということが手段であることがわかりやすくなり、Learningに言葉がアップデートされた時はなるほどなとしっくりきました。

Mindful Leadership

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参考:The 12 Mindfulness Leadership Principles
https://www.themindfulleader.net/post/the-mindfulness-leadership-principles
自分自身がMindfulnessを習得すれば、他の人にも伝染できるというリーダーシップにおけるスタンスです。こちらは北欧デザインカルチャーを研究中のボリスも関心を持っているもので、Tokyoにも合うか一緒にトライしてみようと話しました。実際に私自身も帰国後マネージャーになったこともあり、早速取り入れ始めています。日本語にするとこんな感じ。

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日本でのリーダーシップにも使えそうなところが多くあると思いませんか?

The Goodpatch OSの立ち位置

日本のスタートアップシーンでは企業文化といえば「ビジョン・ミッション・バリュー」という話題を多く耳にします。Goodpatchではそれらとカルチャーを整理したものをこのように図解して、日常的に用いています。

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ビジョン・ミッション・バリューが明確であれば、それに基づいて採用や育成戦略、制度や習慣を整理していくことが可能になり、それが強いカルチャーとなって強い組織を作れます。もしもビジョン・ミッションがなくなったとしたら、意思決定の軸となるものが不明瞭になり、属人性のある意思決定が大量に発生し、再現性のない組織になってしまうと思います。

Goodpatchの場合、ビジョン・ミッション(目的)はカルチャー(企業文化)とコアバリューの軸となるものと定義しています。組織の拡大により、試行錯誤を繰り返しながら現在はコアバリューの再策定を行い、企業文化の再構築を行なっています。

このGoodpatch OSはそれらとどのように位置付けられているものなのか。棲み分けはどのようなものなのか。これからもっといろんな人にフィードバックをもらい洗練していきたいと思っているんですが、私の中では、いまこのような整理をつけています。

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企業文化や社風などと呼ばれるものがGoodpatch OSに当たる部分になります。みなさんの企業にはどのようなカルチャーがありますか?

2018年の7月にサンドラとボリスが来日した時に全社統一をしたデックを作ろうという話になっていましたが、当時のTokyoはバリューの再浸透が急務だったことと、PXチームができたばかりだったこともありアップデート版をなんとか作りましたが、納得のいく出来にはなりませんでした。

今回のサンドラとの対話で、昨年からお互いにカルチャーを強化している分、組織として共通のバリューも浸透し確固たる前提ができた今ならいいものができそうだと確信に変わりました。今なら同じところと違うところを照らし合わせて、より良いカルチャーが育めると思います。

Goodpatch Europeはカルチャー醸成におけるプロトタイピング場

9000キロ離れたTokyoとEurope。市場も人種も言語も違う。そのまま丸ごと一緒というのはカルチャーも規模も違うのでローカライズしたチューニングが必要です。しかしそう思い切れるようになったのは、今回の出張でのボリスとのディスカッションのおかげでした。

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GoodpatchTokyoとGoodpatch Europeにとって、これまでの2年間はTokyoが組織崩壊が起こったということもあり、それぞれの拠点に集中することで成果を残してきました。Tokyoが組織課題で大変な中、ボリスの率いるEuropeはとても素晴らしい良いチームを維持しながら成長を続け、ミュンヘンとパリにも進出し、今では設立4年半で約40人規模まで成長しています。

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もともとEuropeを立ち上げたボリスが、秋葉原時代からのGoodpatch Tokyoの良いカルチャーを持っていったのに加え、Goodpatch Europeは小さな組織のうちから様々な組織施策とカルチャー施策を試行錯誤していました。ボリスはその意図を「Goodpatch Europeはカルチャー醸成におけるプロトタイピング場」だからと話してくれました。
今ではそのおかげで直近はEuropeでうまく行ったものからインスピレーションを得て取り入れるという良い循環が回っています。

過去TokyoからEuropeに持って行ったカルチャー
・Pizzapatch
・プロジェクトレビュー(デザインレビュー)
・Wakeup keynote(朝会でLT)
・Product Crunch(UICrunchのEurope版)

過去EuropeからTokyoに持って行ったカルチャー
・OKR
・Small Improvement(1on1、OKR管理ツール)
・Flex

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これから組織が拡大していく中で、Tokyoのカルチャーも取り入れて行きたいというボリスの意志も聞くことができたこともあり、組織的な相互作用だけでなく、事業やデザインナレッジの相互ラボになっていけるといいなと考えています。そして、その相互に影響を与え合った結果が、それぞれの市場での「Goodpatchの独自性」であり、こういった国境を超えてお互いに影響し合うカルチャーがGoodpatchの大きな強み。独自価値を高めていく要因になっています。

それを端的に表した言葉が「Thinking Global ! Acting Local !」なのです。

私たちはお互いにフォーカスしていた頃から「One Goodpatch」という言葉を大切にしています。その根底にある「Acting Local」を徹底してきたからこそ私たちはお互い成長してこれたので、そのベースはこれからも変わりません。ただ、もう少しだけ「Thinking Global」が必要。視点をあげて海の向こうにいるメンバーの顔を思い浮かべ続ける必要があるのだと彼とのディスカッションで改めて実感しました。

One Goodpatchであること
Acting Local:目の前の変えられることにフォーカスして取り組む
Thinking Global:Goodpatch全体を考える

「違い」を見るのでなく「同じこと」を見る

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1週間ずっとナレッジを得ようと、違いを探していました。しかし、途中で「違い」を見つける時は「同じこと」を探すほうがGoodpatchにとって良いのではと思うようになりました。人の関係においても関係性を深める時は「共通点を見つける」ので。それと同じだと。そうすることでTokyoとEuropeの共通点が見え、違いも見えても在るべき姿を捉えられるようになりました。

・「違い」を見るのでなく「同じ」ことを見る
・そうすることで「どうあるべきか」見えやすくなる

なぜGoodpatch Europeはカルチャーが強く感じるのだろうと考え続けた1週間でした。GoodpatchTokyoとの明確な「違い」は彼らは30名の段階でハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる、デザインの力を証明する。そして5つのコアバリューを毎日口に出しているメンバーがいること。この規模から組織全体に関心を持つ人材(リーダーシップを持てるメンバー)が多いことではないかと思います。そこがEuropeとTokyoを比較した時の崩壊以前のTokyoとの大きな違いだと感じました。

強いカルチャーのある組織とはなんなのか

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滞在期間中「EuropeのカルチャーとTokyoのカルチャーの違い」「カルチャーの強い会社とはなんなのか」と考えまくっていました。最終日の夜にGoodpatch OG であるしょこたんさんと久しぶりに会い、思い出話を話しながらふと、足元に落ちているものに気づいた感覚になったのです。

「私はGoodpatchを辞めてからたくさんの会社を見てきたけど、Goodpatchほど強いカルチャーの会社にまだあったことない。みんながばあちゃんの500万から創業ストーリーを語れる会社、世界中探してもそうはないよ。」

ストーリーを語れる会社。
カルチャーがあるからこそストーリーは語り継がれ、愛される。
愛される会社にはカルチャーがあり、そこにはストーリーがある。

そう改めて実感した出張になりました。

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